「言葉のないセリフ」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 ざここさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉のないセリフ
ヒックとドラゴン1.2.3、全シリーズにおいて胸を打つ理由はこれではないでしょうか。いや、総合的に高得点なのですが。
試写会にて一足先に初見しました。本日2回目を観て、落ち着いてレビューをします。
スターウォーズ、ヒロアカ、などなど、大人気作と同日に公開された作品ですが、個人的にはヒックとドラゴンは群を抜いて大好きなシリーズです。
なぜかといえばいい意味でキッズ向けではなく、むしろキッズハートをお持ちの大人の皆さんに観て欲しい作品。深いお話です。
子ども向け作品とは思えないほどの映像美とクオリティ。
グエグエグワグワいってるドラゴンの鳴き声が本当にこの3次元の世界にもいるかもしれないと思わせる声。ぜーーんぜんかわいくない(そこが最高に素晴らしい。)
3部作の最終章ということで、そのあいだあいだにもテレビドラマシリーズのエピソードがあって、3章からご覧になる方は「??」がたくさんあると思います。それを省きましての感想です。
まずシナリオ。一章の完璧すぎる脚本演出まではいかないもののやはりドリームワークス独自の観点には脱帽。2章を観ていると伏線が所々あって「うわわわわあああ」っていう驚きと感動と腑におちるものがあります。
音楽。1から使用されているメイン曲のアレンジや全く新しい音楽。素晴らしかったです。すみません語彙力ないので他の方のレビューに託します…。
また、ドラゴンが言葉を発さなくとも表情や動きで感情ややりたいことを読み取れるのは「言葉は違くとも通じ合える」と教えてくれている気がします。その演出を引き出すために惜しげもない技術と尺を使うことで成り立っていることも素敵だと思います。求愛もありのままのドラゴンの姿を見せることでまるでそこに本当にいるように思えますし、なにより「かわいい」がどのシーンにもあるのはさすがだなって思います。
演出で印象に残っているのがドラゴンたちの王国のシーンにて、あえて引きにするカメラワークがありました。まるで動物のドキュメンタリー映画を見ているかのような壮大さと尊さが胸を打ちます。音楽がこのシーンもまた素晴らしく、ヒックとドラゴンシリーズは演出と音楽が夫婦なの??と思うほどマッチしている作品だと思います。
3DCGアニメの代表といえばディズニーですが、それらとはまた違った解釈と映像の使い方、カメラワーク。ドリームワークスが作るテーマは決して
みんながみんな「大好き」というテーマではないかもしれないけれど、どの作品も中身の濃い作品だと私は感じます。
濃すぎて何日も何日も咀嚼してようやく出る感想が「うわぁ…すごいなぁ。」という一言。ヒックとドラゴンはそれが如実に現れた作品だと感じます。
ご都合主義と言って仕舞えばどんな作品でもそうだと思います。ですが3部作の大映画であのような見事な完結のさせ方、さらには未来をも楽しみにできるような「どこまでも夢を観させる映画、ドリームワークス」はなかなかないのではないでしょうか。
「会えばきっと好きになる。」この言葉はヒックとドラゴンをお好きな制作会社の方が考えてくださったそうですね。全ファンがこれからファンになってくれる方に伝えたい言葉です。
今後のドリームワークスにも期待しています。