薔薇とチューリップのレビュー・感想・評価
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良くも悪くも東村アキコ
「東村アキコがジュノのために原作書いた!」ってことばっかりが強調されてるから、こりゃ内容は駄目なんだなと思って観たら、面白かった!
入りはテンポが悪いんだよね。笑いを取るところも滑ってる感じがするし、最初は「あー、やっぱり」と思ったの。
でも、話が動いて、二人が入れ替わるあたりから面白くなってくる。さすが東村アキコ。そして谷村美月うまい。ふせえり も面白い。二役のジュノがうまい。これで物語に入り込んでく。
入れ替わった二人はどうなるんだろう? と思うと同時に、現代美術をディスってる台詞(「哲学的なこと言ってりゃいいの」)とか、作品の価値じゃないとこで価格が決まるとか(温泉マークに一億ウォン)、東村アキコの現代美術に対する姿勢が見えて、そこも面白いのね。
東村さん芸大出身なんだよね。その辺のことは漫画《かくかくしかじか》に描かれてるんだけど。だからネロ・パークの学生時代とかは、東村アキコの実体験ちょっと入ってるんだろうなあとか思いながら観てたの。
そして話は収束していくんだけど、ここは面白さが落ちるの。これ多分、東村アキコ作品の特徴。東村さんキャラを創るのが抜群にうまいんだけど、話はそこまでうまくないのね。だから作品は終盤にいってまとめに入ると、ちょっと面白さが落ちるの。
こういう絵が題材になる映画を観ると毎回思うんだけど、実際に絵を出さないといけないから、映像はキツイね。
ネロ・パークは現代美術のカリスマ設定だけど、作品はどうみてもそう見えないもんね。小道具さんがどんなに頑張って描いたって、カリスマの作品にはならないからね(もし、なるなら、小道具やめてアーティストで食べてった方がいい)。
そんなこんなで、観終わったときは「良い点も悪い点も東村アキコ作品に似てるなあ」と思ったの。そして良い点の方が強いから、面白いよ。
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