パラレルワールド・シアターのレビュー・感想・評価
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小劇場系演劇を観に行く一般客にオススメしたい映画
誰もが共感できる、選択の話
誰もが選択を重ねて今の生活を送っている。結果的に多くの選択肢を捨ててきたことにもなる。
30歳という年齢は後戻りをするには遅く、自分の可能性も過大評価できなくなってくる絶妙なラインだと思うのですが、年齢的境界線・夢と現実の境界線・可能性の向こう側とこちら側の境界線の狭間を描いた、デリケートな作品。
若い監督にも歳をとった監督にも描けないという点で代えがたさがあり、監督が自身や周囲を冷静に見つめているという点で誠実であり、ひいては今の日本を切り取ったスナップショットとしては社会的な価値も高いと言って差し支えないだろう。
表現においても劇中劇を効果的に取り入れていて、一方で演出に酔うこともなく、ストーリーやストーリーにこめられた思いを伝えることを重視する姿勢が見られ、見ていて気持ち良い。
こういった作品が自主制作から生まれることに、商業映画業界は危機感を抱いた方が良い。
刺さる、そして、どちらもある
「ありえた未来」に思いを馳せる
試写会で拝見しました。
本編と劇中劇の交差がおもしろいなあと思って観ていたのですが、最後にその劇中劇が持つ意味が一気に襲ってきました。
ただでさえその前の展開で「うわっ」と思っていたところにしんどさが畳みかけてきました。
小劇場や劇団のことについては詳しくないのですが、「あるある」が多いようなので、界隈の方々が観ればその点も楽しめるのではないでしょうか。
私はファン目線でしんどさを感じておりました。
「ありえた未来」に思いを馳せ、自分にとってそれはもう何も叶わないつらさや虚しさを噛みしめました。
そして、アラサーになって夢を追うことの難しさを突き付けられました。
だからこそ夢を追っている人たち・実現している人たち・したいことをしている人たちに感じる憧れや輝きが一層増したように思います。
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