「日本発のコンテンツであるポケモンが実写化で世界へ挑戦。しかも改悪ナシ!」名探偵ピカチュウ 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
日本発のコンテンツであるポケモンが実写化で世界へ挑戦。しかも改悪ナシ!
メイン層は子供なのでストーリーに深みは足りないですが単調ではないですし、ユーモアもあり、何よりピカチュウがここまでCGで可愛らしく表現できただけで十分ではないでしょうか。
「ピカチュウがオヤジ声?」といった点をPRしていた作品でしたが、決して奇をてらった作風という訳でもなく、最後まで見れば「謎解き」はできますし、対象年齢を考えれば良質な出来だと思います。
そもそもポケモン人気は最初の1998年の「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」が凄く、日本で興行収入76億円という大ヒットを記録しました。そして、実はアメリカでも8574万ドルという日本を上回る大ヒットを記録していたのでした!
ただ、それ以降は、特にアメリカでは人気が下がっていったのですが、まさにその「ミュウツー」を使った実写版で、世界で勝負したのが本作でした。
本作は日本での興行収入は30.1億円を記録し、何とか及第点といえるレベルでした。
そしてリベンジという形となったアメリカでは、興行収入は1億4410万ドルとリベンジ成功で、こちらも及第点といえると思います。(もちろん、アニメ版と実写版では、制作費が大幅に違いますが)
ただ、制作費を1億5000万ドルと結構かけたので「続編」があるのかは判断が難しいラインな気がします。
きっと面白い切り口となるストーリーができたらあり得るのかもしれません。
さて、私は字幕版、吹替版と見て、今回3回目は吹替版で見ました。
ピカチュウの「面白いキャラ」としては、(「デッドプール」の)ライアン・レイノルズの声も良かったですが、字幕版で難を感じたのは、哀愁と可愛らしさを醸し出す後半の「ポケモ~ン♪」とトボトボと歌いながらのシーンが分かりにくい点です。
その点、吹替版では西島秀俊の起用が功を奏していて日本人だとキチンと反応しやすくなっているのです。
一方、竹内涼真の声を聞くと顔が連想できて、(そこまで魅力を感じなかった)主役の俳優とギャップを感じてしまい、慣れるのに少し時間がかかります。
もし竹内涼真が英語が堪能で主役を演じていたら、もっと興行収入は上がっていたと思います。
渡辺謙は、もはやハリウッド映画に馴染み過ぎていますね。
正直、本作で渡辺謙と竹内涼真のリアル共演を見てみたかったです。
かつては日本関連のコンテンツは海外で改変だらけで大変なことになっていましたが、本作のように日本の会社が資金面でも共同で出して、クオリティーコントロールをしてくれていると安心して見ることができます。
たぶん、ここまで可愛らしくて繊細なデザインは日本人の感性が必要だったのでは、と思います。
また、ピカチュウの声も日本のアニメ通りで可愛らしさを損なわず良かったですね。
今後もこのような流れがどんどん広がっていくことを期待したいです。