「あなたは一番大事なものに時間をかけている?」運び屋 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
あなたは一番大事なものに時間をかけている?
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麻薬の運び屋をしていた90歳のおじいさんのお話。
単に実話を元にしたというよりは、もっと普遍的な「自分が本当に大切にしたいもの」がテーマ。主人公としてはそれが家族ではあるのだが、家族だけではなく、本当に大切な何かを大事にすることの大切さを解く。
主人公アールは家族との大事な時間を仕事に費やしてきた人生によって、家族からは半ば絶縁状態だった。
自分に本当に大切なものは家族との時間である、そこに至るまでの心の変遷を描くのが本作。
時間が大切だった、お金でなんでも買えたが時間だけは買えなかった、というセリフは印象的。奥さんからも、主人公が仕事で育てる花と同じように、家族も時間をかけて大事に育てなければならない、と言われている。
また、若者に対しても、本当に大事なものに目を向けなければならないという思いを吐露している。
この映画は麻薬の運び屋という犯罪者に対して、仕方がないとか、すごい理由があってみたいな、そういう描き方はしていない。100%犯罪だ。だが、奥さんが倒れて余命幾ばくもない中、麻薬を運ぶ途中であのような状況であなたは奥さんの元に戻ることができるだろうか。時間に間に合わなければ死が待っている。それでも戻れるだろうか。何があなたにとって重要で、何がそうではないか。僕たちは、この映画を通して、それを問われている。そう思える。
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