劇場公開日 2019年3月8日

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「その身体から滲み出るオーラというか、陰影深さというか。とにかくその魅力に滅多打ちになる」運び屋 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0その身体から滲み出るオーラというか、陰影深さというか。とにかくその魅力に滅多打ちになる

2019年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

颯爽と現れ展示会の空気をさらっていく彼の姿は何とも言えないチャーミングさに満ちていた。が、そこから全てを失った彼のほうが、身体から放出されるオーラというか陰影の深さが明らかに違って見える。イーストウッド作の主人公は、人々の真ん中よりも、こうしてアウトサイダーとして佇んでいるのがよく似合う。

ご老人が危険なブツの運び屋になる。たったそれだけでも物語として完璧なのに、御大はそれに加えてにわかに「この国のかたち」を描いているように思える。それは様々な人種間のやり取りに集約されるのだろう。この主人公に壁なんてない。誰とでもうまくやれる。時には差別的なジョークを介しながらも、それについて指摘されると、ああごめんな、と笑って謝る。そのやりとりが実に軽妙で、また愛おしい。

人々の分断なんて、我々は軽く飛び越えられるのだよ、という心の声がどこからか聞こえてきそうだ。この芳しい香りにまたしてもやられた。

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牛津厚信