「花と家族と時間」運び屋 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
花と家族と時間
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デイリリー。一日花のユリ科の植物。
この花に魅せられた男の数奇な物語。
ネットの普及で、事業を畳むことを余儀なくされた時、彼はもう若くなかった。
家族より仕事をとり続けたことで、妻に愛想をつかされ、娘に恨まれ、唯一の味方は孫娘というしがない老人は、風にそよぐように残りの日々を生きるだけだった。
そこに悪魔のささやきが…
まんまとその囁きに乗るしかなかった時から、彼の人生が転回していく…
成功と呵責。その狭間で揺れる男の葛藤。
家族を顧みなかった事への後悔。
ギャンブルと解っていてもやめられない仕事。
莫大な報酬によって得られる他人からの称賛と感謝。
しかし金では取り戻せなかった「失った時間」
それでも、仕事を放って危篤の妻の元に舞い戻った時、「失った家族」は取り戻せた。
その家族との時間は、男が魅せられたデイリリーが花開く只一日のごとく、心から愛していたものだった。
この映画はクリント イーストウッドの集大成であり、間違いなく代表作だ。老いてなお研ぎ澄まされる映画作りの感性に、惜しみない敬意と感謝が湧いてくる。
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