劇場公開日 2019年3月8日

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「家族が一番、仕事は二番、三時のおやつはサンドイッチ」運び屋 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家族が一番、仕事は二番、三時のおやつはサンドイッチ

2019年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 90歳という老人を表現するのに、これでもかこれでもかと演技力を発揮したイーストウッド。さらに携帯の無い時代を生きてきたことを強調し、デイリリーを育ててきた園芸一途の男だったのにインターネットに仕事を奪われてしまったのだ。ケータイ絡みのシーンはほのぼのさせられるし、麻薬カルテルの人たちもなぜだか親近感を覚えてしまう前半部分。

 一回運んだだけで新車も買えるし、差押えられた家をも買戻し、退役軍人会の建物だって直してしまうくらいなのだ。老人だということで、警察やDEAの捜査網からも逃れることが出来てしまい、ついつい止められなくなり、メキシコまで飛んで麻薬王ラトン(アンディ・ガルシア)からも可愛がられる始末だ。

 好きなシーンはそこでフリオに対して「こんな仕事辞めなさい」と親心で諭そうとするところ。自分も家族を顧みなかったことから、反省し始めてたから出た言葉なんだろうけど、「孤独な俺を拾ってくれたファミリーなんだぜ」と切り返される。血のつながった家族と麻薬組織のファミリーの対比も面白い。

 家族というキーワード以外にもいろいろと工夫が見られるものの、それがちょっと空振り気味だったのが残念。タコス野郎とかニグロとかの人種差別だったり、バイク姉ちゃんたちだったり、どちらも中途半端だったのだ。また、DEA捜査官たちもブラッドリー・クーパーやローレンス・フィッシュバーンといった有名俳優を使う中、マイケル・ペーニャがいまいちはじけてなかったのも残念。

kossy
kossyさんのコメント
2019年4月1日

マン年寝太郎様
日本車が活躍するアメリカ映画が多くなってる中、活躍しませんでしたね。
やはりイーストウッドはでかいアメ車が好きってことで・・・

kossy
寝落ちマン(次男)さんのコメント
2019年4月1日

🇺🇸愛国精神も結構だけど日本車の扱い‥。

寝落ちマン(次男)
kossyさんのコメント
2019年3月13日

熊取の鷹様
コメントありがとうございます。人種差別問題は語り尽くしたのでしょうかね。あの短いセリフだけでも十分伝わって来ました。

他の人が書かないことを敢えて探しながら観ているので、時折とんちんかんな記事を書くこともあるので、そんな時はお許しください。

kossy
熊取の鷹さんのコメント
2019年3月11日

拝読して、なるほど、と思える部分が沢山ありました。イーストウッド作品と言えば、根底に流れるのが人種差別に対するメッセージ。今回のバイク姉ちゃんなんかは、LGBTに対する偏見への一石だったようにも思います。だとすると、なるほど、一つ一つのエピソードがやや浅いのかな、とも見えてきますね。
それに、マイケル・ペーニャに関してもなるほどです。

総じて良い作品でしたが、そうした見方をしてらっしゃるのを拝読して、よく映画を観られてるんだなぁ、と感心しきりでした。

熊取の鷹