「家族が一番、仕事は二番、三時のおやつはサンドイッチ」運び屋 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
家族が一番、仕事は二番、三時のおやつはサンドイッチ
90歳という老人を表現するのに、これでもかこれでもかと演技力を発揮したイーストウッド。さらに携帯の無い時代を生きてきたことを強調し、デイリリーを育ててきた園芸一途の男だったのにインターネットに仕事を奪われてしまったのだ。ケータイ絡みのシーンはほのぼのさせられるし、麻薬カルテルの人たちもなぜだか親近感を覚えてしまう前半部分。
一回運んだだけで新車も買えるし、差押えられた家をも買戻し、退役軍人会の建物だって直してしまうくらいなのだ。老人だということで、警察やDEAの捜査網からも逃れることが出来てしまい、ついつい止められなくなり、メキシコまで飛んで麻薬王ラトン(アンディ・ガルシア)からも可愛がられる始末だ。
好きなシーンはそこでフリオに対して「こんな仕事辞めなさい」と親心で諭そうとするところ。自分も家族を顧みなかったことから、反省し始めてたから出た言葉なんだろうけど、「孤独な俺を拾ってくれたファミリーなんだぜ」と切り返される。血のつながった家族と麻薬組織のファミリーの対比も面白い。
家族というキーワード以外にもいろいろと工夫が見られるものの、それがちょっと空振り気味だったのが残念。タコス野郎とかニグロとかの人種差別だったり、バイク姉ちゃんたちだったり、どちらも中途半端だったのだ。また、DEA捜査官たちもブラッドリー・クーパーやローレンス・フィッシュバーンといった有名俳優を使う中、マイケル・ペーニャがいまいちはじけてなかったのも残念。
熊取の鷹様
コメントありがとうございます。人種差別問題は語り尽くしたのでしょうかね。あの短いセリフだけでも十分伝わって来ました。
他の人が書かないことを敢えて探しながら観ているので、時折とんちんかんな記事を書くこともあるので、そんな時はお許しください。
拝読して、なるほど、と思える部分が沢山ありました。イーストウッド作品と言えば、根底に流れるのが人種差別に対するメッセージ。今回のバイク姉ちゃんなんかは、LGBTに対する偏見への一石だったようにも思います。だとすると、なるほど、一つ一つのエピソードがやや浅いのかな、とも見えてきますね。
それに、マイケル・ペーニャに関してもなるほどです。
総じて良い作品でしたが、そうした見方をしてらっしゃるのを拝読して、よく映画を観られてるんだなぁ、と感心しきりでした。