クロノス・ジョウンターの伝説のレビュー・感想・評価
全9件を表示
意地悪なシチュエーション
難解なタイトルに惹かれて鑑賞、調べたらクロノス(Chronos)というのはギリシャ神話の時の神、ジョウンター(Jaunter)は英語で旅するだから、クロノス・ジョウンターは旅する時の神ということらしい。映画では1995年に作られたタイムマシーンの名前でした。
ただ、過去への飛躍は制約が大きい、滞在は10分程度で遡った時間の二乗分の未来へ飛ばされてしまう。したがって恋人を救うために何回も未来から戻ることになる。
要するに恋人を救うために苦闘する研究者の物語、素直に逃げればいいものをなかなか聞き入れてくれない設定はやきもきする。最後は彼女もタイムマシンの研究者になり彼のいる未来に飛んで再会を果たしたような終わり方、ただ、滞在できる時間はどうなっているのだろうか、過去ではなく未来ならずっといられるのだろうか、気になって単純に喜べませんでした。逆に未来に行った彼の方が改良されたタイムマシンで制約なく彼女のところへ戻るなら納得ですが古いタイムマシンで彼女が飛ぶのは無理っぽいでしょう。敢えてそうしなかったのかもしれません、悲恋の方が感動的に見えるという意図でしょうか、回りくどいSF恋愛ドラマ、シチュエーションが意地悪過ぎましょう。
リープ?ワープ?トラベル?、いやコンプレス
同じように、ジョイントじゃなくて、ジョウンターという小説内の架空の人物の名前が由来のようである。と言う風に、SF業界においての“時間移動”というジャンルは人間の夢と欲望を掻立てられる触媒であり、この素材を元に今まで沢山の作品が生まれたこと枚挙に暇がない。但し、人間は飽きも早いので、同じようなパターンの作風ではかなり既視感を抱いてしまうから、次に素材自体に脚色を加えることを考え始める。それは素材自体のフォルムも然りだが、条件付けをすることでルールを付与し、そのルールに縛られたり、又は破る為の“チート”を模索することを、ストーリー展開に組み込むことでドラマ性の花を開かせるきっかけ作りに一役買うことになる。しかし、こと時間軸故に複雑なファンクションを付与してしまうと途端に理解に滞りが生じてしまい、考えようとする推進力が奪われてしまう弱点がある。小説ならばいつでも前に“ワープ”して理解出来るまで思考を停めなくても良いのだが、映像となると作り手と観客の間に共有されねばならない“前提”というお約束が不履行になってなってしまうのである。平たく言えば、小難しい事について行けなくなるということだ。
今作品の原作は小説であり、いわゆる群像劇で構成されているらしい。未読なのでネット参考なのだが、既に別作品や、舞台作でも引用されていることらしいので、原作に関して言えば相当人気であるだろう。多分、その人気の一つの要素が前述である、数多い前提条件の件が絡んでいると考えられる。
さて、それを映像化した場合、きちんとそのギミックの説明を表現できるのかが鍵なのだが、今作は、それを見事に裏切って俳優の説明風台詞でその殆どを提示しているのだ。こうなるともう何を言ってるのか頭の中で黒い糸がこんがらがってしまう映像しか想像出来ない。そしてそれが曖昧なまま、ストーリーが進んでいくから因果関係が置き忘れてゆく。時間トリックというなかなか飲み込みづらいテーマなのだから、もっと巧い表現方法は無かったのだろうか?そうでなくてもドンドン後出しジャンケンみたいに条件がくっついてくる展開なので丁寧さが求められるのにと勿体なく思う。
そうなると、冒頭の昔の古い映写風の映像テクスチャや、叙情的な二人の思い出シーンのしつこい差し込みシーンも意味を成さない。必然性が感じられないからである。カエルを飛ばすことと、カエルのブローチの安易な括りも、フリと回収が浅い。ヒロイン視点の描写が無いから、ラストのヒロインが装置に乗る件も観客の気持は乗ってない。時間がキモなのに、同僚の友人がこれだけ年月が進んでいるのにまるで同じ姿態。老けメイク等、オーバーな位容姿を変えるべきなのではないだろうか?そして重要なセンテンスである、もどかしくじれったい位、何度過去を変えようとしても変わらない悔しさを丸っきり表現出来ていない主人公、そして演出。劇伴の安っぽいパソコンゲームのBGM。
数え上げたらキリがない程のツッコミどころ満載な体である。出てくる俳優陣の演技レベルの低さも相俟って、一体今作品のどこの部分が加点を加えるべきだろうか迷うのだが、正直難しい・・・難しいが強いて挙げるとすればこの人気小説を選んだということだけなのではないだろうか。その選球眼だけは優れていたのだろうが、幾ら素材が良くてもシェフがこれでは・・・ 制作費が掛かるような題材ではないと思うので、もっとアイデアや相当の改編があっても良かったのではないだろうかと思う。
大切な人を救う為に何度もタイムトラベル!
原作は梶尾真治先生のSF超大作!
ざっくり言ってしまうと、主人公は爆発事故で大切な人を失ってしまった。その大切な人を救う為に何度も過去に飛んでは未来に押し戻されてしまう切ないラブファンタジーSF映画。今回初めて映像で観てこの作品のファンになりました‼️
原作好きなので
原作本は、新しく出るたびに毎回買うほど大好きな作品。
映像化はちょっと複雑な気持ちながらも、福岡の「1日限定上映」に行ってきました。
キャパが小さいスクリーンながらも、ほぼ埋まってる状態…だったんだけど、客層のほとんどが主人公の役者さんのファンの方って事で、原作ファンとしては複雑な気分。
内容は、ほぼ原作通り。
ただ、主人公の心の声が端折られてるから、ちょっと伝わりにくかったかな。原作の「Trust me」のところとかw
で、クライマックスで、蛙のブローチが消えることで成功した、って事なんだけど、原作では爆発でドロドロになったブローチが復元するって描写だったんで、ちょっとタイムパラドックスでした(*´Д`)。
原作と違うラストのオチは必要だったかな~?
待つ
思いっきりネタバレになりますけど、ラストシーンが結構好き。
星空の下で再会なんて、ロマンチックじゃないですか。
頭の固い私は、ラストの展開が予想がつかないで、ハッピーエンドは無いと思っていたから、余計にそう感じたのかも。
過去に戻ると未来に飛ばされてしまう。それを逆手に取って、未来に行くとは。
さて、『9月の恋と出会うまで』や、この作品、ヒロインが運命を預けて信じて待つんですよね。
これ、男だと論理的に確信が持てないと、待てない気がするんです。
女性の場合は感覚みたいなのを大切にして、信じて待てるんしょうか。
私、おっさんなんでよくわかりません。この辺りは女性の意見を聞いてみたいです。
と、言ってはみたものの、一生懸命になる相手を信じて待つのは、性別関係ないのかな。
学生の自主制作映画のような雑な作り
主演の2人の演技はそれほど悪くなかったと思うが、何しろ脚本にしろ演出にしろセットにしろ、詰めが甘すぎる。もっと言えばいい加減にお茶を濁すなよ!という感じです。
タイムトラベルものはいわゆる「ファンタジー」なのが大前提なので、あまり細かい突っ込みを入れてはいけないのは百も承知の上で、それでも酷い出来です。
解決できない問題点が残っているとはいえ、仮にも「タイムマシン」ですよ?
開発が中止になった後処理として、セキュリティがゆるゆるの倉庫にポンと置いときますか?
しかもマシンが稼働できる状態で、まして動作するエネルギーも残ったままで?
絶対にありえないでしょ。
ラストは宇宙のどこかで2人が出会うシーンで映画は終わりますが、あれは彼女が花屋を辞めて、研究者となって彼女がタイムマシンの技術を発展・開発させて、彼を六千年先の未来まで追いかけるって事ですよね。
なんなん、それww
最高です!
主人公吹原とヒロイン来美子が出会ってからだんだんと心を通わせていく過程が、役者さんの表情や息づかいなどで丁寧に繊細に表現されています。自分を犠牲にしてでも愛した女性を救うためだけにただひたすら奔走する主人公の姿に心打たれ、その後のラストシーンも涙が止まりませんでした。
回数を重ねるごとに物語への理解がより深まり感動が増していくので、何回でも繰り返し見たい作品になっていると思います。ぜひたくさんの方にご覧頂けたら嬉しいです。
何度も見て欲しい作品(※微ネタバレ注意)
公開初日、二日目に観させていただきました。(秋葉原の先行上映も行きました。)
とっっても感動しました。
タイムリープものなのですが、今までに出会ったことのない愛の形を感じられる作品だと思います。
いつもの風景が鮮やかに色づくシーンや、たわいない話をするシーン。愛する人とのありふれた幸せな時間、そんな時間が主人公の吹原にとってどれほど大切なのか、どれほど守りたいのか、その必死な姿に思わず涙が出ました。
本当に些細なきっかけで人はこんなに変わる、愛する人を想う吹原の想いの強さが最後まで強く伝わってきました。
自分の人生をかなぐり捨ててでも愛する人を救うために必死になって動く吹原を観たからこそ、ラストのシーンの吹原の表情がとても心に響きました。
私個人としては、純粋にハッピーエンドと言い切ることができないラストでしたが、とても感動的でした。3回観て3回とも泣きました。
本当に素晴らしい作品ですので、是非みなさんに観ていただきたいです。
作品裏話+感想(ネタバレ有り)
最初は売上のために大人気声優である下野紘さんを主演に持ってきたのかなと思っていたが、上演後の監督やプロデューサーを含めたトークショーでそうではないと分かった。蜂須賀監督は以前にアリス・イン・ドリームランドという作品で下野さん(白うさぎ役)を主演で実写映画を作りたいと本気で感じていたそうだ。
多忙な下野さんが現場に居られるのはかなり短い時間で、撮影自体もかなり短い時間だった。しかしエキストラ含めた全てのキャストが動きを確認したり話し合いをしたりと、作品に全身全霊で取り組んだ事で十分に評価出来るものとなったように感じる。また、下野さんはセリフが完璧でほぼミスがゼロのまま撮影を終えたという。
ここから映画の感想
下野紘ファンにとってはたまらない!本当に初めてなのかってほど演技が良かったと個人的には思う。また、原作がSFということもあり、思シリアス過ぎない作品だと感じた。小説よりも主人公である吹原和彦に感情移入できる。切羽詰まって未来からやってきた吹原と、蕗 来美子(井桁弘恵)の距離感が見れて、目の前の人を救いたいという吹原の強い想いと何も知らない来美子がとてもリアル。
ただし最後のシーンなど、展開として戸惑う所はある。ハリウッドのアクション映画やSFを見慣れているとなんというか登場人物の行動の裏付けが浅いように感じる。しかしこの映画はハリウッド映画のような世界を巻き込む展開ではなく、ごく平凡とも言える2人が自分達の想いを素直に言動に移したらこんなことになったよ、という映画なのでこれでいいのだと思う。
色々なことが重なり伝説とも言える出来事が起こってしまう世界の不思議さ、偶然の面白さを楽しめた。この作品が沢山の人に届く事を願っている。
全9件を表示