劇場公開日 2020年11月20日

「漫画っぽい世界観の体現は見事、中身はそんなに詰まってない」ばるぼら たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0漫画っぽい世界観の体現は見事、中身はそんなに詰まってない

2021年10月22日
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鑑賞方法:VOD

怖い

単純

知的

ブランデーの匂いがする様な映画。酔いしれるような画面に、堕ちていく2人がありありと描かれていく。

手塚治虫の成人向けコミックを息子の眞監督の手によって実写化。現代的な東京の中に漂う昭和な雰囲気が洒落ている。それを引っ張ったかと思えば、少し『ブラックジャック』っぽい漫画らしさを感じたりもする。点の描写が多いので、最終的な到達点を考えるとちょっと意味を捉えにくかった。

ばるぼらを演じる二階堂ふみは、堕ちていく様な役どころを多く演じているが、きちんと唯一無二の香りがするから凄い。何度も濡れ場や裸体を見せるシーンがあるが、そこに漂う幻想的な部分は美しい。しかし、サイボーグの破壊や浮かんでは消える姿など、どうも理解できないままに進むことが多いのが気になる。

稲垣吾郎の大人びたオーラは小説家のアウトローな雰囲気を帯びていてカッコいい。一瞬の油断も感じさせない、ピリッとした空気が作品の核を作っている。だからこそ、あの空気に対しての言葉が足りないと思う。

作品に引き込まれる要素は薄かったものの、作品の世界観を引き立てる幻想的な美しさは感じられた。他の作品も意外と撮っているので、観れたら観ようかな。

たいよーさん。