「映画よりも配信ドラマ向きでは」ばるぼら クレオさんの映画レビュー(感想・評価)
映画よりも配信ドラマ向きでは
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原作を読んだうえで、本作を視聴した印象として、描写不足がある感は否めませんでした。
特に、ミューズとしてのバルボラの存在と美倉の栄光と転落の描写が不足しているのではという印象を受けました。
過去の様々な芸術家のもとにバルボラがいたこと、そうした彼女や人形、ムネーモシュネーに関係する黒魔術の要素が原作と比較して描写不足であるために、バルボラの存在があまり際立ってるように感じられませんでした。
また、美倉がバルボラと出会うことにより傑作を生み出した結果とバルボラに魅了されていく経緯も、視聴する側にとっては把握しにくいものであり、そのため、芸術家の美倉にとってバルボラがいることの重要性というものが視聴する側にとって感じられずに、話が終わったような印象を受けました。
一方で、俳優陣の演技は大変素晴らしいものでありました。また、甲斐加奈子や里見志賀子は原作とは異なり、自発的な行動を起こす女性になっており、こうした点については、
個人的には好印象を受けました。
このように、美倉の栄枯盛衰やバルボラなどの描写不足という印象を通して、2時間弱の映画では「ばるぼら」という作品を映像化することの困難さが窺えました。
したがって、登場人物のより具体的な描写のためにも、「ばるぼら」は、映画よりも6~8話構成の配信ドラマ向きではないでしょうか。
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