劇場公開日 2020年11月20日

「手塚治虫先生が70年代に書いた漫画を実子である手塚眞氏が監督した「...」ばるぼら うさうささんの映画レビュー(感想・評価)

5.0手塚治虫先生が70年代に書いた漫画を実子である手塚眞氏が監督した「...

2020年11月23日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

手塚治虫先生が70年代に書いた漫画を実子である手塚眞氏が監督した「ばるぼら」。この映画はこれが果たして大衆娯楽として成立するのだろうか、という疑問を見事に払拭していました。確かに万民受けする映画ではないけれど、新宿でありながら新宿ではないような、現代でありながら現代ではないような美しい映像は「あれは、幻だったのだろうかー」のコピーの通り、美しい芸術作品を見終わった後のような満足感を得ました。二階堂ふみさんは朝ドラでの「音ちゃん」と同一人物とは思えない程つかみどころのない「ばるぼら」を演じ切っていました。また、稲垣吾郎さんは漫画の美倉先生とは体格が全然違いますが、人気作家であるときのすかした表情と全てを失い朽ちていく表情が見事で、美倉先生は稲垣吾郎以外には考えられませんでした。丁度コロナ禍で何が正解で何が正義なのかわからないこの時代に、この映画は観賞している大人達に御伽噺のように白昼夢とその先にある残酷さを見せてくれるのではないでしょうか。

うさうさ