劇場公開日 2020年11月20日

「【倒錯世界】」ばるぼら ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【倒錯世界】

2020年11月21日
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この作品、レビューはけっこう難しい。

手塚治虫さんの「ばるぼら」は、美倉が倒錯した世界に落ちていく様が、きっちりストーリーとして描かれていて、映画は倒錯した部分にフォーカスしすぎているのかなと、少しもやっとした気持ちになった。

海外と共同制作で、この倒錯した世界の物語は外国でも理解されるのかと少し驚いたし、でも、よく考えたら、世界的権威とされる作家にだって、のんだくれで、生前は相手にされなかった人も結構いたように習ったし、もしかしたら手塚治虫さんも他のSFや神話、宗教や歴史物を手掛けながら、倒錯する世界に足を踏み入れていたのかと興味をそそられる。

手塚治虫さんの描く女性の裸身の曲線はとても美しい。
実際の女性の裸と、縄文のヴィーナスのちょうど間くらいの感じというか、エロティシズムと神々しさのようなものが混在している気がするのだ。

そう言う意味で、二階堂ふみさんのばるぼらは、良かったと思う。

男は女性が好きだ。
たとえ、社会的地位を手に入れようと、金が有り余っていようと、自分の理解のカテゴリーからはみ出すような女性には特に興味を惹かれる。
作家なら、創作意欲が駆り立てられてなおさらかもしれない。
そして、これは世界共通かもしれない。

倒錯世界にストーリーは要らないという人もいるに違いない。

ただ、僕としては、原作を知っているぶん、もう少し、二人して落ちて行く過程が欲しかったと思う。
よってマイナス1.0。
でも、二階堂ふみさんの熱演にプラス0.5ということで。

ワンコ