「これはホラーか、サスペンスか…」死体が消えた夜 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
これはホラーか、サスペンスか…
これは面白かったなぁ
始まりはオカルト映画なのか?と思わせつつ、最後は社会批判も込めたサスペンス映画として完結した映画だった
大手製薬会社の会長で、大学教授(キム・ガンウ)の妻が亡くなり、その遺体が安置所から消えるという事件が起きる
刑事のジンハン(キム・サンギョン)は、夫から事情を聞くうちに、様子がおかしいことに気付き、疑い始める…
この映画の下敷きには
韓国社会の問題点である格差社会がある
悪いことをしても、平気な顔をして生きている上流階級の人たちに対して
小市民が告発したところで、大した罪は問われない
それならば、上流階級の人たちから酷い目にあわされた人たちが、
彼らにそれ相応の償いをさせるには、どうすればいいのか
何をしたらギャフンと言わせることができるのか
という、韓国らしい「恨み」が、この映画のベースにはある
しかし、前半では、そんな背景を一切感じさせず、まるでホラー映画のようなテイストでスタートする
主人公は、若い大学教授である
彼は、元々は庶民だったにも関わらず、年上の製薬会社の会長に気に入られて結婚し、苦労せずに上流階級への仲間入りを果たす
ところが、ある程度の地位を手に入れたところで、若くてかわいい学生に夢中になってしまい、その地位まで引き上げてくれた妻を捨てようとする
その教授は、観客からすれば、同情の余地がなく
そんな庶民の風上にも置けないような奴は、どうにでもなれ!と思わせるようなタイプの人間だ
そして、そこまで描いて、主人公が全ての観客を敵に回したところで、この映画の「本当に描きたかったこと」が暴かれるのだ
その切り替えがお見事だった
きっと、多くの観客の胸がスッとしたに違いない
その全ては因果応報であり
悪いことをした人間には、後で必ず自分に振り返ってくるのである
その中心にいるのが、庶民とはかけ離れた生活をしている上流階級の人たちであり、
だからこそ余計に、庶民が上流階級の人たちに仕返しする姿に観客は喜ぶという韓国らしさをはらんだ映画だった
時には笑えるところもあり、楽しめるエンターテイメント作品なので、ホラーが苦手な人でも安心してる楽しめ作品になっている