「戦争モノ×○○○モノ」オーヴァーロード zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争モノ×○○○モノ
ノルマンディー作戦のため、ドイツが電波塔を設置した占領下のフランスの教会に向かったら、実はその地下で「1000年生きる兵士」を生み出す実験をしていて……という話。
とにかく心臓に悪い。最初から対空砲火に銃撃に地雷に村を見回る品の悪い兵隊にと戦争モノとして緊迫のシーンが続く。銃撃戦とかは最後までかなり力が入っていて、ドイツ兵に見つかるかもしれない綱渡りな作戦行動の緊張感はずっとある。
なのに気味の悪いゾンビ然と化した人物が急にカットインしたり、明らかにヤバそうな研究室が出てきたり、頼むからどっちかにしてくれ。正直半分くらいのシーンで画面を直視できなかった。
序盤に「邪悪に勝つには邪悪にならないといけない」みたいな台詞があったが、戦場という極限下でギリギリのモラルを持てるかという映画だったのかも。敵も味方も殺し合いしかない場所で、ネズミ一匹殺せない主人公は明らかに「何をすべきか」をわかっていなかった(絶対助からない軍曹を助けようとしたり、女を助けるためにドイツの将校の前に姿を現してしまったり)。それがゾンビ化した仲間を殺した辺りから、強い口調で意思を表すようになって、作戦第一だった伍長や憎まれ口を叩く仲間を翻意させて、生存確率を下げてでも子供を助けに向かわせている。
個人的には伍長を一番気に入っている。ドイツの将校を殴りまくったり軍人然としてたが、最後は敵を倒すためにゾンビ化しながらも、研究所もろとも自爆する道を選んだ。最後に将校から取り上げたライターで導火線で火をつけるのは外連味溢れてて格好良いですね……。あと上官を殴って配属替えられたという話があったので、もしかしたら同じように上官の命令に反発した主人公の意見を聞いたのかもと思ったり。