「わはははははははは♪」ゴジラvsコング pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
わはははははははは♪
レビュータイトル
「ロボットガッズィーラではなくてメカゴジラ♪」
にするつもりだったけど「あれ?これってネタバレになるか?」と思い変更。
ゴジラが好きな。コングが好きな。大怪獣が好きな。
すべての子ども達と、かつて子どもだった大人達へ。
大丈夫です!制作スタッフはみんなの観たいものをわかっています。
安心してシアターへ足を運んで下さい♪
頭が大人になっちゃった人には、多々ご不満もおありでしょうが、でもね。
ゴジラって「大怪獣映画」だからw
(多くの子供達が楽しめるストーリーとしては、これくらい起承転結きっちりの勧善懲悪が最適だと思う。)
ゴジラ映画とはそもそもの始まりが
「戦後の暗い社会を尽く破壊、無秩序に陥らせる和製キングコング」
「核という人間が生み出した恐怖の象徴」を「体現」したのがゴジラ。
人間の身勝手さで生み出され、人間の身勝手さで葬られる。
キングコングだってそうだよね。
見せ物にされる為に髑髏島から連れて来られ、逃げようと暴れれば殺される。
ゴジラもコングも
「着ぐるみの巨大生物が、人間の身勝手さに怒り大暴れする映画」
であれば、コンセプトはバッチリOKなのだ。
その後、長い時間をかけて変遷してきた追加設定は「とりあえず、そういうパターンもアリよね」という派生系として解釈すべきで「追加設定に捉われ、作品を酷評」するのは、どこか本末転倒な気がするのだ。
(ただし「怪獣対決」がこれだけ前面になったのは小栗旬の英語力不足により人間ドラマを描いた部分が大幅にカットされた為。脚本のウェイトを怪獣対決メインにシフトせざるを得なくなったのだ。
ネイティブ達にまともに聞き取れるだけの発音が出来ず、声の演技がまるで出来ない小栗の出演シーンは当初の予定より半分以上削られたという。salmonの発音は何百回繰り返してもsalmonには聞こえないとのダメ出し。小栗の初登場シーンもまるっきり変更。
人間ドラマ部分を変更せねばならなかったのは監督も苦渋の選択だっただろう。当初の脚本には、蓮が何故、父と違う志に立っているのか描かれていたらしいのだから。(小栗はその設定が気に入り、オファーを受けたとか)
白目のカットは監督の眼には「出来の悪かった子が迫真の演技で頑張っている!」と映ったのではないかと思う。凄く褒めてくれたそうだから。監督にしてみれば「この場面をしっかり活かしてあげなくちゃ!」と、そう思ってしまったのではないかなぁ。
最終的な完成フィルムで敢えて、芹沢博士との関係に言及しなかったのは「次回作には小栗を使わずに済むようにする為」というのは考え過ぎか?生死を曖昧にしたのは、今後格段に英語力向上があれば再チャレンジさせてあげたい温情か?
小栗くん、2019に1年間L.A.にて語学留学していたのにね。発音の壁は大変だ。)
主役はコング。いいんじゃないかな。
62年の「キングコング対ゴジラ」はキングコングがゲストで、早い話がプロレスの外国選手招聘試合だもの。
(例えじゃなくて、本当に力道山vsルー・テーズに因んでいるから。プロレスで正しいんです。コングvsゴジラの伝統は)
「反核のメッセージ性よりも単純痛快エンターテイメント性が強いパターン」はこの時に生まれたわけで。
だから、今回はゴジラがゲストとしてハリウッドにお伺いしたのだ。
その分「おもてなし」の姿勢は良かったと思うよ?
どう見たって明らかに「ゴジラ最強!」じゃん!
コングも「あるアイテム」をゲットすれば、何本かに1本は勝てる、というくらいの力関係だよ、今回のコングvsゴジラは。
こんなにも強い「最強のライバル」という形で出演させて貰えたなら、日本人として満足だ。主役よりも人気の高い最強ライバル役ってよくあるじゃないw
制作陣の「ゴジラリスペクト」を感じられて嬉しい。
勝敗はどうせ「大人の事情による玉虫色の決着」になるのだろうと思っていたから、このラストは非常に嬉しい。
先日、シアターで観た「グレートマジンガーvsゲッターロボ」と同じパターン。
しかも、ただの◯◯◯◯◯じゃなくて、◯◯◯◯◯◯由来よ!◯◯◯!(笑)
もう、最高!だろぉ?それはw
トライスター版のGODZILLAにおける日本人の(いや、世界中の)落胆を、レジェンダリーが拾い上げてくれた。
東宝ゴジラのレガシーを受け継ぐ作品としての新たな創造がなされたと思う。
「ガッズィーラ」ではなく「ゴジラ」というこだわりがアメリカにも伝わったのは渡辺謙さんの功績ではなかろうか。謙さんがGodzillaの部分だけは「ゴジラ」と日本語発音を貫き続けた事は、各国の観客達にもキッチリと伝わったと思う。
今回も、バーニーがロボットガッズィーラと言った直後に、ジョシュがしっかりと日本語発音で「メカゴジラ」と言ってくれるのは胸熱ポイントであった。(吹き替えではわからないけれど)
ギャレス・エドワーズ監督は
「ゴジラのような怪獣映画を見たい時、人間の闘いなんて見たいとは思わない」
「優れたSF作品に共通するのは2つ。1つはただただ面白くエンターテイメント作品として怪獣の闘いを観たいという観客の思いに答えること。もう1つは物語の背後に隠れた意味を、説教臭くしないで伝えること」と語っている。今回のウィンガード監督にも同じポリシーを感じた。
香港?いいじゃない。
昭和じゃあるまいし、今時あれだけのネオンギラギラ高層ビル群って中華圏ばかりだと思うよ?超カラフルなエンパイアステートビルって感じで面白かったよ。
大連万達の王健林だって、もしかして怪獣やヒーロー映画が大好きなのかもしれないしw
(しかし、今、完全に中国政府に目をつけられ厳しい圧力に晒されているから、万達電影もそう長くない気がしないでもない。王氏ほどの大富豪、権力者でも政府に逆らえばひとたまりもないって事か。数秒で20億人の中からたった1人を識別出来る監視カメラが2億台。国民にプライバシーはない。レジェンダリーが大連万達から再独立出来る未来もあるかもね。)
本作、オープニングではなんだかもう感無量だったよ。
キングコングの生みの親、メリアン・クーパーは1899年、6歳の時に叔父から貰った「赤道アフリカの探検と冒険」という本に登場する「無敵の森の王、ゴリラ」に魅了された。
成人し映画業界に進んだクーパーは「恐ろしい巨大ゴリラの映画」を作る為にわざわざ会社を移籍した。
クーパーの脳裏には「高層ビルのてっぺんで飛行機と戦うゴリラ」が浮かんでいた。
また、コモドドラゴンにも影響を受けていたクーパーは「恐竜型のドラゴンとゴリラが戦う図」もすでに浮かんでいたのだ!
キングコングとゴジラの対決は「映画キングコング」が誕生する遥か以前から運命付けられていたのである。
(今回のコングの人間臭さには、当時の特殊効果クリエイター、ウィリス・オブライエンが浮かぶ。彼は観客の共感を得るには半人半獣、顔は極力人間に似せるべきだ、と、主張したが、ゴリラを描きたいクーパーに押されて諦めたのだ。オブライオンの主張が100年の時を超えて、今回ようやく叶ったと思えば感慨深い)
ヒットラーが独逸総統に就任した年にキングコング誕生(ヒットラーもキングコングの大ファンだったそうだ)
終戦後、反核実験・反核戦争への強いメッセージを身に纏った和製キングコング「ゴジラ」が誕生。
やがて、恐怖の対象から「正義のヒーロー」「子ども達の人気者」に。
しかし、75年「メカゴジラの逆襲」を最後にシリーズは止まる。
ゴレンジャーの大人気。仮面ライダーとウルトラマンは新作は振るわなかったが、再放送の繰り返しで充分に子ども達を惹きつけられた。
10年後、1984年。30周年記念として原点回帰の「ゴジラ」が制作されたが、これは大コケ。沢口靖子は大根だわ、30年前風にしたいんだか現代風にしたいんだか「とりあえず秘密兵器と謎の生物と人形みたいな美人だしとけ!」的な印象だった。制作陣自体が「何を作っていいのか」きっとわからなかったんだろう。
大怪獣達の時代は、すでに遥か昔に終わったかのように見えた。
平成に入ってからは、ビオランテとかレギオンとか(いや、これは亀だけど)どーにも冷めた目で見てしまった。(観に行ってるじゃん!というツッコミは置いといて)
ただ、90年代には怪獣映画に少し醒めていた自分だが「夏休みの自由研究にモスラの絵を描いている小学生が沢山いるなぁ」と感じた事が強く印象に残っている。
98年。トライスターのガッズィーラ。
なるほど、欧米人の目にはこう映るのか。所詮、理解し合えない。
という人種の壁を感じる落胆。
99年。ミレニアムシリーズの始動。反核ではなく「大自然の脅威」にされたゴジラ。モスラ、ギドラ、メカゴジラという人気者達を共演させて「とっとこハム太郎」と併映。CG&ワイヤーアクション多用。大人は置いてきぼりにされる。
2016年シン・ゴジラ始動。子供は置いてきぼりにされる。
同年アニメ映画製作発表。
しかし少し戻って2014年!
海外ではついにレジェンダリーがやってくれた!
原作(原点?)への深いリスペクト。ゴジラ大好き!大怪獣大好き!の
「こちら側の人間だな」(どっちだよ?)と思える安心感。
エドワーズ監督がカナダロケに行った際、作品名にコードネームを使ったら入国審査に引っかかった。仕方なく「ゴジラ」を撮影している事を明かすと審査官達は一斉に好意的になり、「変なものを作るなよ?!」と言われて、どうしたら良いゴジラ作品が撮れるかを20分以上語り合ったそうだ!(爆)
やってくれるね!カナダの入国審査官達!それって彼らも「トライスター版」に非常に不満を抱いていた証拠だよね。
98年に感じた落胆は、決して日本人だけのものではなかったのだ。
16年の歳月を重ねる間に、世界中に「ゴジラの理解者」はこんなにも増えていたのだ・・・。
実はレジェンダリーのゴジラを観た時「反核を消して、大自然の脅威に置き換えた!」と思い「ゴジラ誕生の最も重要なコンセプトを、アメリカ非難を避ける為に改変した」と感じて、それだけが不満だった。
しかし脚本家のダラボンは「『ゴジラ』を見て我々が学んだことは、ゴジラが広島と長崎の原爆、そして当時我々アメリカ人が行った核実験のメタファーであるということだ」と語ってくれている。
ディレクターズカットは4時間に及んでしまい、残念ながらセリザワが原爆を語るシーンや登場人物達の背景を大幅カットせざるを得なかったとか。
だから!
だから、本作「Godzilla vs. Kong」のオープニングを観た時は本当に本当に嬉しかったんだ。
6歳のメリアン坊やがアフリカ冒険の本を手にしてから、なんと133年!
大きな戦争、急激に進歩するテクノロジー、人種差別と偏見・・・。
様々な問題を乗り越えて、人類はようやくここまで来た。
ゴジラを通して、世界はここまで分かり合えた。
グローバルに文化を共有し、過去の歴史に学び、新たな時代を創り上げていく。
「ゴジラ」は世界の共通言語だ。平和の象徴だ。
そんな荘厳な想いに、目頭が熱くなりながら、思いっきり「ゴジラ&コング」の世界にどっぷりと浸らせて頂いた2時間だった。
シンプルに「わはははははは!」だけのレビューにするつもりだったのに、語りすぎてしまった(苦笑)
人類がこの先、どういう未来に突き進むのかはわからないが、
世界中に「大怪獣が大好きな」「かつての子供達」がいる限り、
その道は「幸せに繋がっている」と信じて止まない。
※こちらのレビューを始めて4ヶ月。
記念すべき100本目の投稿に本作を選ぶ。
100本中、最も短いレビューにするつもりだったのに、
100本中、最も長いレビューになってしまった(笑)
※7月8日2回目観賞追記
今回は3D4DX 。
吹替版しかないので吹替で観てきましたー。
いやぁ、面白かった!ストーリー、充分だよ。少年漫画レベルでいいんだよ。
大変楽しかったです。3D4DXお勧めです。
いやあ、こつちもすごい、凄い!!
俺を、「一人で喫茶店でスマホ眺めてニヤニヤしてる変なおじいさん」にしちゃってるのは、pipi さん、あなたですからね。面白いレビューを書きすぎたか、としっかり反省しといてくださいよ。
今回の罰は、「また、楽しいレビューを、読ませてくれること」です。それで、勘弁してあげます。
俺は、小栗さんに対する深い考察に激しく納得でした。発音がイマイチで出番は削られたことは知ってましたが、今後に関するコメントは、すごく納得いきました。
そして今回最大の見せ場は、1975年から2014年の40年間をこんな短い文章でこんなに的確に描き切った文章じゃないでしょうか。同時代を生きた、かつ文才溢れる人だけが綴れる、リズミカルで素晴らしい文章。感動。
> 「とっとこハム太郎」と併映。CG&ワイヤーアクション多用。大人は置いてきぼりにされる
そうでした。まだ小さかった息子と行ったなあ。たくさん怪獣出て楽しかったけれど、一番強かったのは船木さん(誠勝)だったなあ。「やっぱりマグロ食ってるヤツじゃダメだ」のひと言で、北村さん(一輝)が、俺の中ではアカデミー主演男優賞だったなあ。
pipiさん、共感&コメントありがとうございます。
なるほど、英語力の壁ゆえの結果でしたか。小栗旬くんのみならず、制作陣、観客の誰もが得をしない結果で、残念でなりません。貴重な情報をありがとうございました。
勧めますか?・・・ネズラw
Wikipediaでネズラを調べて、その内容に爆笑しました。
当事者が真剣だからこそ面白いですね。映画の方は不完全燃焼だったようですけど…
機会があれば観て、ちゃんと報告します!w
ノリでグレートマジンガーvsゲッターロボは観てみましたよ。懐かし~
ほぼ半世紀前ですよ。pipiさんがこれを口直しに観たと思ったら笑えました。
もしかして冗談?
更にノリで、ヤッターマン、ガッチャマン、キャシャーン、テッカマン達が勢ぞろいする
「タツノッコン王国で同窓会だコロン」を観ちゃいました。
そば屋で化学忍者隊がそばをすすっている貴重なシーンが見られるので、ぜひどうぞw
pipiさん
コメントありがとうございます。
ホント、小栗旬の英語はヘタクソでしたね。
カタカナ英語みたいで、こんなのでネイティブに通じるのかと思いながら観て(聴いて)ました。
ロックダウンホテルの釈由美子と比べてしまって、彼女は上手かったのに、って余計小栗旬を残念に思いました。
むかーし、昔、愛知県が勝手に誇っている水族館の鯱ショーで、シャレにならない事をして、真面目に出禁になりかけた(で、幼き子供達のトラウマ・・)、おバカなNOBUです。
菅さん、頑張っているけれど・・、宰相の器では・・(ウワワ・・)
大怪獣の方々には”上の方の海”で、ガッツンガッツン細ーい鉄筋を使った”人民搾取”高層ビル群を破壊して欲しかったなあ・・。
そろそろ、自部屋で読書タイムですので・・。
あ、そういえば杉浦さんの旦那さんと並び称される、鹿島建設の御曹司の方の本は、面白いですね。「子供より古書が大事と思いたい」etc.・・
我が家で、こんなことを言ったら、出禁です・・。
今晩は。
”頭が大人になっちゃった人には、多々ご不満もおありでしょうが”
おバカなので、何ら問題なく凄く楽しく、鑑賞しました。
一点だけ。
私は、色々な背景があって描けなかったのは重々承知の上で、香港での大バトルは、
”大変な思いをしている香港の方が可哀想じゃない!”とちょっと思ってしまいました。
香港のお隣の国を舞台にして欲しかったですが、無理なのでそこは原点に還って、東京カナ・・、と・・。
凄ーく怒られそうですが・・。国会議事堂をメイン舞台に、バッキン、バキバキ!と・・。あ、凄ーく怒られそう・・。
pipiさん、貴重な情報ありがとうございます。ハリウッド俳優は2ヶ国語以上喋れないと通用しないのでしょうね。と、喋れない英文科出身が言っても説得力がないのでやめておきます。
ポリスアカデミー2だったかで、英語が苦手な日本人のように特徴を活かせればいいんですけどね…
pipiさんへ
情報提供、有難うございました!
英語力の問題は辛いですね。最近、東洋系のハリウッド出演者の英語、上手いですからねぇ...って、浅野氏はどうなるw
ありがちなパターンとしては、再びメカゴジラに芹沢Jr.が乗り込んでゴジラと共闘し、クローンギドラ&メカギドラと対決。日本ではメカゴジラvsクローンギドラ、上海(いっそ北京でやれよ!)でゴジラvsメカギドラ。メカゴジラは負けて、ゴジラは勝って。決勝戦はゴジラvsクローンギドラ、って言う、怪獣天下一武道会w
100レビュー、おめでとうございます!
いやぁ、ゴジラやコングの歴史、背景などなど、勉強になりました。
小栗旬のエピソードなどは、どこで知りえたのか不思議なくらい。
それにしても、pipiさんの感想は毎度深イイですね~
私なんか、もしpipiさんがチコちゃんだったら叱られてるわ。
ところで、○○の部分に入る言葉は、メカゴジラ、キングギドラ、
その次、アタマ?
そこと、その上の先日グレートマジンガーvsゲッターロボがとても
気になりました。
コメントありがとうございます。
pipiさんのレビューも素晴らしい!星5ですね!(^^)
ギャレスのカナダ入国審査、ご存知でしたか。自分も大好きな話です。
そう、怪獣映画はこれでいいのです!色々あれこれ批判している輩も居るようですが…
ゴジラやコングの第1作目のメッセージ性のある作品を守りつつ、そのレガシーやオマージュを受け継ぎ、こんなにも激アツのエンタメを作ってくれた。感無量です。
本当に仰る通り、“怪獣”は世界と平和を繋ぎますね(^^)
それから、レビュー100本目、おめでとうございます!(^^)