「もうこれ人間でしょ」ゴジラvsコング SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
もうこれ人間でしょ
正直、あまり面白くなかった。
だんだんコメディよりになってしまって、シリアスさやリアリティがなくなってるのは、シリーズものの宿命と思って受け入れられなくもない。
でも、ゴジラやコングは何を考えているのか分からない、結局は人間の思惑の外にいる未知の存在、という設定だけは守ってほしかった。
コングが手話で会話できて、「コングのおうち」が出てきたらもう笑うしかない。出来の悪い同人誌だ。
これじゃもう、人間と同じだ。モンスターじゃなくてただのスーパーヒーロー。
巨大モンスターが出てくる映画で最大のキモって、「絵空事じゃない」と思わせることだと思う。
だって、巨大モンスターがもし本当にいたら、それだけですごいことだから、それを信じさせてくれるだけでいい。
でも、「それはさすがにないわ」という不要なディティールが重なれば、もうお話の都合でうごくだけの魂の無いCGにしか見えなくなる。
このタイトルでばくぜんと思ったのが、ゴジラは日本の象徴、コングはアメリカの象徴、みたいなストーリーになるんかな?と。
で、実際見てみると、ゴジラは基本コングより強いし、どうもそうは解釈できなさそう…。
作中で出てくる日本人は芹沢さん。ということは、メカゴジの方が日本をあらわしてるのかな…。
たしかに芹沢さんはエイペックスの社長に頭があがらない感じで、技術だけいいように利用されてる日本の企業みたいだ。
この作品において、メカゴジは単にゴジラとコングが仲良くなるためのダシに使われただけ。でも、メカゴジをもっと深く掘り下げたら、すごく面白い話になったかもしれない。
巨大モンスターという脅威に対抗できる兵器を開発しよう、という動機はまっとうなもの(むしろゴジラやコングに守ってもらおう、という考えの方がおかしかないか)。
それに、あの芹沢博士の息子を三下な悪役として処理するなんて…。ああ、なんてもったいない。