劇場公開日 2021年7月2日

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「半世紀近い時を超え、日米代表怪獣の再戦は歴史的で壮大、ただし人類パートは地味」ゴジラvsコング mokusin takataniさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0半世紀近い時を超え、日米代表怪獣の再戦は歴史的で壮大、ただし人類パートは地味

2021年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

49年前に公開された原作?はビデオレンタルで視聴、キングコングやゴジラより
付け合せで登場していた大ダコ(本物使って撮影!ようやる)の方に目が行ったが
対決の結末は引き分けだった、変なストップモーションや妙にへっぽこな戦いは
逆に技術発展した今から見ても面白いんで笑う感じで見ればおススメ。

そのオリジナルから時を超えて戦うわけだが、今回はガッツリ死闘を繰り広げ
怪獣プロレス見たい勢の期待にしっかり応えてる。海と地と2度ぶつかるが
特に印象強いのは戦艦上での肉弾戦、コングとゴジラ両者の特性を生かした
戦いぶりは実に迫力があった。またコングの理知的というか人間らしさ?が
『髑髏島の巨神』より更に強く描写されておりデザインもさること、手話を理解し
扱うのを含めてまるで髭もじゃのオッサンに見えてくる。若干のネタバレになるが
武器を使用したり彼の先祖が建築したと思われる超巨大建造物が登場するなど
超然としたゴジラとは違い、人類と対話可能な怪獣としての立ち位置を
与えられているようだ。終盤『仕方ねぇな』と言いだしそうな顔で立ち上がり
戦いの準備をする姿は非常にカッコいい、ビルが頑丈とは言ってはいけない。

一方何かと平成ガメラと似ているといわれる本作ゴジラ、いままで人類の脅威と
それほど思われなかったがある日突然、しかしそこには理由が・・・というのは
平成ガメラでも同様の展開があり、やはり似ている。ただし平成ガメラには
諸々含めて悲壮感があったがこのゴジラにはそんなものはない、どころか
ゴジラらしいとさえ思える、人と関わらず調停者としてひたすら好き勝手暴れた
のもあるが、守護神と破壊神の立場の違いも大きいだろう。これまで感情が
あまり見れなかったが、コングの戦いぶりに関心しているような顔を出していた
だが熱戦を直撃させた時のせせら笑いのような顔は少々意地が悪くみえたので
コングを生意気で勝気な若造と見てたのかもしれない。

人類パートもあるがこれは狂言回しの存在と言って過言ではない、前作から
再登場した人に人類サイドの主役だった人の息子、悲しい過去を持つ人
その全てが怪獣達が今何をしどこにいるかを見せる理由として立ち回っている
から個々の印象は極めて薄い、怪獣同士の戦いに笑いがない代わりに
人類パートで笑いを入れている、が殆どクスリとも来ないのがなんとも
でも終盤の手話に関してはフフッとはなった、小栗旬のあれを笑い要素と
言って良いのか悩む。

噂によれば本作でこのシリーズは完結するらしい、それ故かOPではゴジラと
コング以外の怪獣がもういない様な描写がされているし、本来ならタイトルに
絶対乗るはずのあの怪獣が出て来るなど最後だからやりきろう感が強い
その一方でまだまだ作る意気込みがある旨も目にしている、全ては売上次第か。

以下重要なネタバレ、ご注意



タイトルに名を連ねていないが、なんとメカゴジラ(以下MG)が登場しびっくり。
半重力やらリニア式輸送機、怪獣の卵を制御している怪しい装置など
オーバーテクノロジーぶりが今作で一気に出てきた、全てはMG登場への
布石という事か。今までにないこれまた新デザインとなったMGだが
腕を回転させたり足から頭へと上っていくカメラワークに首もぎ取りなど
初登場した昭和へのオマージュが散りばめられていた、巨匠スピルバーグ制作
『レディ・プレイヤーワン』でもそうだったが、ハリウッドはMGないし昭和MGが
お好みなのか、私も好みだから大いに歓迎だが。意外なサプライズ登場で
驚かされたが、建造に前作ボスのギドラの遺伝子が組まれてる、だから当然の
ように暴走し、倒された恨みからゴジラへの攻撃振りは非常に苛烈かつ残虐で
容赦がない、そんな窮地にコングが加勢に入ってくるのが熱い。このシリーズの
怪獣同士の対決で限定すれば一番好きかも。

木神