「面白かったけど、ゴジラ映画じゃないですね。」ゴジラvsコング torasanさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったけど、ゴジラ映画じゃないですね。
絶賛するコメントはたくさんありますので、逆向きのコメントを。
過去のキャラクター設定を全て忘れて、今作だけのゴジラとキングコングだと考えて観ると楽しい映画でした。
アメリカ制作だから仕方ないのかもしれませんが、ゴジラが原水爆実験で生まれたということは忘れられてます。そして、コングは手話できるようになってるし。
しかし、人間の管理下に収まるコングと、手がつけられないゴジラが正面から戦うというのはちょっとナンセンスだと思います。協力してメカゴジラを倒したら休戦状態になるというのも、なんだか腑に落ちません。最後にコングはヨレヨレ状態だったのだから、ゴジラはコングにトドメを刺せたはずです。
設定といえば、地下空間に玉座がありましたが、あの空間や仕掛けを作ったのはゴジラやコングじゃないですよね。コングの武器になっていた斧も別の存在が作ったようです。斧にエネルギーを充填できたり、ゴジラの熱線を防いだり、全体として都合の良いことが起きすぎです。
スピード感や疾走感は観ていて楽しかったですが、世界観をもう少し丁寧に設定しないと何でもありになってストーリーがペラペラです。次回作の脚本では、散りばめられた伏線を回収するのが大変そうです。あぁ、回収せずに忘れるというのもありですね。
そして、香港である必要性はあったのでしょうか?
ゴジラ、コング、メカゴジラの決闘の地が香港でしたが、香港である必要性は無いですよね。逆に、日本は出てきませんでした。なぜでしょう? ハリウッドも中国市場を取り込む必要があるということでしょうか。
また、小栗旬は唯一の東洋人だったとおもいますが、芹沢という名前の意味が全くありませんでした。前作の渡辺謙との関係も分かりません。セリフがほとんど無くて、メカゴジラを操作するために白目をむいている場面だけが印象に残りました。
今作は日本要素はゼロだし、ハリウッド版の次回作が「宇宙怪獣が攻めてきて地球怪獣軍が迎え撃つ」というようなアベンジャーズの怪獣版になっても驚かないですね。
でも、個人的には西暦2000年前後の東宝ゴジラが好きなので、東宝さんにその路線でまた作って欲しい。
このままでは、ゴジラはアメリカのキャラクターになってしまいます。