「ジェイソン・ライトマン監督作としては物足りない」フロントランナー AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイソン・ライトマン監督作としては物足りない
「JUNO ジュノ」「ヤング≒アダルト」「タリーと私の秘密の時間」と、元ストリッパーの異色脚本家ディアブロ・コーディと組んだ“こじらせヒロイン三部作”と呼びたいユニークな快作を放ってきたジェイソン・ライトマン。人間のだめな部分や失敗をユーモラスに描き笑いを誘いながらも、慈愛の眼差しで救いをもたらしてきた。そんな監督の最新作だけに期待大だったが、実話に基づく今回の映画は勝手が違ったか。
大統領選で先頭を走る最有力候補のハートが、不倫疑惑をすっぱ抜かれ危機に陥る。ハートと選挙スタッフらが対抗策を講じるも次第に追い詰められていくさまを、心理サスペンスのタッチを添えてスリリングに描くが、ハートという人物の人間性にまで深く入り込むような描写が足りず、結果として共感しにくい主人公の話に。妻、浮気相手、女性スタッフの人物像や葛藤の描き分けは良かっただけに惜しい。現代の問題につなげる意図は感じられたが。
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