「青春の後ろ姿を人はみな忘れてしまう」惡の華 masamiさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の後ろ姿を人はみな忘れてしまう
先ず最初に言っておきます。私は原作の漫画も
アニメも知りません。
皆さんのレビューも一行も読んでいません。
だからそれは違う、とかその話は聞き飽きたとか、それは別のレビュアーさんの話と一緒だとか思われる方もいると思います。
ですから、最初に謝っておきます。
ごめんなさい。
私はクソ広い関東平野に住んでいます。山は見えません。田舎に行くと駅前にささやかな商店街があり、畑があり、古民家カフェがあり、神社仏閣がある。
そして山が必ず見える。あの山に見守られている感じ。ゆったり時間が流れている感じ。
たまらなく好きです。しかし・・・
それは一方的な見方です。実は山が見える風景。それは地方都市のデフォルトです。あの山は自由を阻害する象徴。あの山の向こうに自由があるかもしれない。少年ジャンプが金曜日に売っている店があるかもしれない!
山の中の平地で生きている事。全てがそこで完結している事。息詰まる感じ。
そっちがデフォルトだった!
さてこの映画は群馬の地方都市が舞台です。
ここが大事です。海無し県。埋め立てで土地を
増やす事はできません。
ここ試験に出る所と先生が言う。それくらい大事です。
逆に群馬県人に言ってはいけない言葉があります。
「群馬って山しかないよね」
ダメです!それをいっちゃあーおしめえよ!
群馬県人を手なずける言葉があります。
「上州かるた知ってる?」
群馬県人のソウルゲームだから絶対知っています。そこで、鶴、舞う、かたちの・・・
「群馬県」(一緒に言ってくれます)
これで群馬県人を手なずける事ができます。
多分群馬県人は閉塞感を持っている人の割合が高いでしょう。離島に住んでいる人の次くらいに多いでしょう。
そういう空気をこの映画から感じました。
一応言っておきますが、ディスってるようですが私は群馬県が大好きです!温泉最高!松本城最高!
それは長野県だよ!
私はこの映画を観て、ある映画を思い出しました。その映画とは・・・
「月光の囁き」
京都の地方都市が舞台の青春映画。かと思いきや変態映画。主人公は極めて普通の男子高校生です。憧れの人と、良い感じになる。
所が憧れの人の物を盗み始め、さらに家に呼んだ時、トイレに録音機をしかける。排泄音まで!
そしてそれが全部ばれてしまう!そこから物語はヒネリ出します?体操の白井選手くらいヒネリます、ゴール地点が見えない。機会があれば見てください。
多分、多くの人はキモイ!観たくない!
そんな感じだろう。しかし・・・
私は共感してしまった。わかってしまった。
青春ってそんなもの。キラキラしてるだけじゃない。
例えば魔法の鏡であなたの暮らしを覗いてみたいとか偶然を装い帰り道で、待ってますとか。
微妙に腹黒い考えを持っている。
青春はそんなに美しいだけではない。不都合な記憶は削除して甘酸っぱいものにしている。
青春の後ろ姿を人はみな忘れてしまう。
私はこの映画に共感した。好きになってしまった。賢者になった。
賢者にはなりませんね。
この映画はまごうかたなき青春映画です。
着地点が見えません。何回も
そうきたか! と思いました。
キャストの熱演も凄い!
特に玉城ティナちゃん!エキセントリックにも
程がある。こういう美女に翻弄され、罵倒され
殴られ蹴られ。最大公約数で言うと、全男子の
憧れだろう。
最後の場所にも意味がある。正直傑作だ!