「演劇的で、大いに笑えるが、煩悩は宙ぶらりん」108 海馬五郎の復讐と冒険 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
演劇的で、大いに笑えるが、煩悩は宙ぶらりん
タイトルに「108」の数字を入れ、煩悩にまつわる話だと明示しているが、仏教的な深みがあるわけでもなく、表層的なエピソードに終始したように感じた。
レストランの店内で突然ミュージカルになる演出は大人計画の舞台のようだし、ある主要なキャラクターと寝たことをカウントするかどうかを内心考える場面など、笑えるエピソードも多い。
ただR18+指定の割にエロの描写が大味で、映画の尺の都合もあってか一度に寝る相手の数をどんどん増やすのに反比例して、それが復讐の行為であるという哀しさも薄れていく気がした。まあ「女の海」で松尾さんが滑っていくあたりは爆笑したけれど。
中山美穂に思い入れのある層には申し訳ないが、彼女が演じたキャラクターにも魅力を感じない。監督と世代の近い男性層は、元アイドルの彼女がちょっとエロいことを言ったり演じたりすると興奮するのかもしれないが、その感覚も少々古いのではなかろうか。
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