「子供アニメをバカにする者は、子供アニメに泣く・・・感動して。」映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
子供アニメをバカにする者は、子供アニメに泣く・・・感動して。
子供アニメをバカにする者は、子供アニメに泣く・・・感動して。
GWの定番人気アニメ"クレヨンしんちゃん"の劇場版27作目。なんと!"しんちゃんの声が変わった!"
実に26年3ヶ月にわたって、野原しんのすけのCV(声)を担当した矢島明子が自ら降板。声優の入院や逝去など健康上の理由以外での降板はあまりない(ピエール瀧のオラフは例外すぎる)。四半世紀以上も演じてきたクオリティを保てなくなったというのが、その理由である。
すでにTVシリーズのしんのすけの声は、小林由美子に代わっていたが、新CVとして初の劇場版となる。
小林が矢島版しんちゃんの喋り方に近づけているので、声質が変わっても違和感はない。モノマネの誤差の範囲といったらいいか。
さて今回は、野原みさえ(しんちゃんの母親)が大活躍する、オトナ目線の変化球タイプ。
冒頭、実はひろしとみさえが新婚旅行に行っていなかったことが明らかになる。ある日、みさえが見つけてきた家族同伴可の新婚旅行ツアー。野原家全員で参加することになり、はるばるオーストラリアへ。
ところが現地グレートババァブリーフ島(架空の島)の先住民たちに、ひろしが連れさらわれ、ひろし奪還のため、野原家が大冒険を繰り広げる。
サブタイトルの"~失われたひろし"は、「レイダース/失われたアーク」(1981)のパロディ。インディ・ジョーンズシリーズをオマージュしていて、「魔宮の伝説」(1984)のトロッコ逃走劇も出てくる。
オトナ向けのクレヨンしんちゃんは、原恵一監督の「オトナ帝国の逆襲」(2001)以来、数年にいちど、たまに"家族の在り方"を独特なアプローチで描いてくれる。今回のは「ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん」(2014)以来かな。
本作は夫婦である前に、愛しあう恋人であったひろしとみさえの愛を描いており、エンディングに流れる、あいみょんの主題歌「ハルノヒ」でグッとくる。
♪ほら もうこんなにも幸せ。
いつかはひとり。いつかはふたり。
大切を増やしていこう。
そしてドタバタの中でも、しんのすけが発する、本質を突いた言葉が光る。
ひろしを助けるために「諦めるわけにはいかない!」と頑張るみさえに対して、「じゃあ、母ちゃんのことは誰がお守りするの?」というセリフ。うーん、5歳児とは思えない。
さらに劇中で、みさえの「Everything」(Misiaの代表曲)や、ひろしの歌う「HELLO」(福山雅治の楽曲)など、ギョッとする演出がある。とんでもないアクセントになっている。
オトナ向け演出の反面、子供のだいすきな"おしりギャグ"のたぐいは控えめになる。
普段なら、"へぇーこんなところで笑うんだ!"と、子供たちの笑いのツボに感心したりするところだが、子供たちの大爆笑は気持ち少ない気がする。
(2019/4/20/TOHOシネマズ上野/ビスタ)