「観るに値しないクソ」宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章「新星篇」 しでんさんの映画レビュー(感想・評価)
観るに値しないクソ
まず展開があまりにも早い。通常アニメ2話分の展開を15分でやる。しかも、トントン拍子でご都合主義全快。7章だけではないが、よくわからない専門用語や謎の直感、これしかない道的な解釈ばかり立てて、視聴者を置き去りにする。
2時間映画で詰め込むだけ詰め込まなければならない、という精神がよくわかるのだが、他のTVアニメ総集編映画のように、エピソードや設定の取捨選択が下手くそ。◯ードギ◯スとは雲泥の差でこっちがひどい。7章だけではないけど。
また、7章は特に昭和のお涙頂戴展開が満載で吐き気がした。声優陣や作画陣が素晴らしいのにお粗末脚本で逆に萎えた。
キャラクターたち一人一人の掘り下げもたりない。ミルが次期ズォーダー大帝という設定を明かしてから即死。伏線を知らないのか?
6章のG計画及び銀河、5章のクラウスの素性もそうだが、脚本が行き当たりばったりすぎて伏線を貼れず、結果キャラクターの掘り下げが出来ない。
また、キャラの死亡に関しても相当ひどい。ミルは呆気なくガミラス兵士に殺され、クラウスと斎藤は特攻(このとき、2202における好感キャラ、クラウス・キーマンを特攻殺害した脚本の罪は重い)、アナライザーはヤマト被弾時死亡、桂木はホーミングソードで惨殺(てか、あれヤマトの機関部にぶちこんだら沈みますよね)、土方に関しては、ホントに古代を艦長にするためのような脚本都合で圧死。描写が軽く、10分程度で個別に分けてまとめられてる。唯一徳川機関長だけは素晴らしい死に様だと思った。前述のお涙頂戴展開とのギャップがありすぎて全く泣けない。というか冷める。
ガトランティス壊滅も、ズォーダーが(視聴者目線で)今更自分を人間だと認める宣言をした上での玉座破壊だから萎えた。それするなら、なぜ先代ズォーダーのような見た目の側近(エ◯ァのネルフにいた声の人。個人的にこのキャラは好きでしたよ!)が、ズォーダーを庇って死んだ描写いれたの?戦争はたくさんの人が死ぬ忌むべきもの的なメッセージを伝えるため?だとしたらチープ展開と言わざるを得ない。そんなもの、ヤマト視聴者は誰もが知っているからだ。
また、特に最後のヤマト特攻に関しては本当に何してるんだと思った。さらばヤマトと現代では思想が全く異なる。にもかかわらずヤマトを特攻させ、森と古代を殺したのだ。さらばユーザーに向けてのサービスのつもりかもしれないが、テレサや死んだキャラクターの魂を集めて『特攻しか手がない』という美化脚本には反吐が出る。もう一度いうが、これをヤマト、古代、森にやらせてる時点で脚本家は今すぐ職を辞するべきである。
このとき、私は『これで3リメイクでない!やったね!』と本心で喜んだくらいには、2202を嫌っていることを悟った。
さて、一番の問題はこの後だ。
ガトランティス戦後の処理をしてる最中、ヤマトが次元断層に、山本を引き連れて復活した。
つまり、圧倒的美化で特攻をさせた古代、森の意思を否定した。命を捨てて相手を殺す特攻で、古代と森を生かしたということは、この二人も、死んだズォーダーも、全世界の特攻者、及び被害者への侮辱だ。
死にたくもないのに死ぬしかない、そんな戦いで命を散らした人間を、復活させてはならない。特攻という忌むべき戦術が軽いものになる。軽くしてはならないものを、軽くした2202は駄作以外の何者でもない。
そのあとの展開?もちろん、森と古代が生きていることを示唆させ、ご都合主義救出。まぁ、ヤマトのお家芸だし、そんなに乖離した展開ではなかったから、特に嫌ということはなかった。
なお、このときの真田さんの演説は感動するものでありますので、ここは観たほうがいいです。
というわけで、ヤマトが森と古代を救出に駆けつけ、ズォーダーボイスの締めくくりが流れてチャンチャン。
物語全体のテーマ、戦いの愚かさ、銃口を引く罪、理想と現実、愛と絶望といったものは詰め込まれていたが、詰め込みすぎてシナリオがチャンポンになってしまったのが、ヤマト2202の評価であろう。
さて、批判ばっかりしてきたけど、いいところもちゃんと書いておこうと思います(星1だけど)。
まずグラフィック。神。さすがは現代映画。よくぞ描ききってくださいました。本当に尊敬します。
戦闘シーンの気合いの入りようはすさまじいです。
次に音楽。2199から健在ですが、一生聞いていられるくらいには好き。壮大。好き。
最後に声優陣様。全てのキャラクターたちが際立っており、モブ、ザコのようなひとは誰一人いませんでした。有名とか実力者とか、そんなの関係ない。キャラクターに息吹を吹き込んでくれたので有難いです。特に、土方さんは緊急の御登板にも拘らず、今までの土方さんをスクリーンに出していただいた。本当に尊敬します。
以上が私のレビューです。
最後にひとつだけ。
もう二度とヤマトを作らないで欲しい。素晴らしい映像、素晴らしい音楽、素晴らしい声優がいようとも、駄作になることが証明されたから。