劇場公開日 2023年9月22日

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「南極での行動が現実離れし過ぎていることもあって、「再生の物語」が心に響かない」バーナデット ママは行方不明 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0南極での行動が現実離れし過ぎていることもあって、「再生の物語」が心に響かない

2023年9月23日
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主人公のバーナデットは、現状に適合できず、ストレスを溜め込んでいるはずなのに、そのように見えないのは、どうしたことだろう。
むしろ、(少々古いが)豪邸に住み、夫は大企業に勤め、娘は一流の学校に通っている彼女は、人も羨むような生活を送っているように見えて、お隣のママ友とのトラブルはあるものの、決して「鬱」とか「適応障害」とかの心の病にかかっているとは思えないのである。
やがて、新進気鋭の建築家だったバーナデットの過去が明らかになるが、彼女が挫折した経緯にそれほど大きなインパクトはなく、何で仕事を投げ出してしまったのかも納得できない。
そもそも、社会で華々しく活躍していた女性が、仕事を辞めて家庭に入ったことで、精神のバランスを崩すという図式は、少々類型的で、短絡的すぎるのではないか?
いずれにしても、彼女の満たされない現状がなかなか実感できないため、やりたいことをやって自分を取り戻すという彼女の「再生の物語」も、あまり心に響いて来ないのである。
バーナデットが南極に向かう経緯にしても、夫と娘に合流しようとしたからなのに、2人を探そうともせず、観測隊に潜り込んでしまうという展開には、違和感を感じざるを得ない。
そもそも、観光船にしてみれば、乗客がいなくなったら、スケジュールを変更してでも徹底的に捜索するはずで、これほど身勝手で迷惑な行為はないだろう。
当然、近くの観測基地にも問い合わせるだろうから、その時点で、すぐさま所在が判明して、船に連れ戻されることは間違いないし、ましてや、そのまま基地に居座って、南極点にまで行ってしまうことなど絶対にあり得ないだろう。
仮に、彼女が、南極点の基地を設計し、建設するにしても、現実的な手続きや手順を踏まえたものでなければ、それは、「絵空事」にしか見えないし、ラストで出てくる(恐らく)本物の施設の映像に、どこか唐突感を覚えるのも、そうした現実離れした展開のせいに違いない。
それから、母と娘の親友同士のような関係も、「寄宿舎」と「私立の進学校」の違いがよく分からず、実感しづらかったのは残念だった。

tomato
tomatoさんのコメント
2023年9月23日

ありがとうございます。
私も、ケイト・ブランシェットに期待していたのですが、今回は、ちょっと残念でしたね。
リチャード・リンクレイターとの相性が悪いのでしょうか?

tomato
talismanさんのコメント
2023年9月23日

tomatoさんのレビュー全てにそうだ、そうだと共感しました。ブランシェットが大好きなので、余計、え~!?って思って見てました。

talisman