「観客としては不完全燃焼…。」プロメア たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
観客としては不完全燃焼…。
炎を操りテロ活動を繰り返す「マッドバーニッシュ」に対抗する「バーニングレスキュー」の戦いと、その裏で蠢くある陰謀を描いたファンタジー・アクションアニメ。
主人公であるバーニングレスキューの新人隊員ガロを演じたのは『デスノート』シリーズや『怒り』の松山ケンイチ。
自治共和国プロメポリスの司政官クレイを演じたのは『鍵泥棒のメソッド』『鎌倉ものがたり』の堺雅人。
バーニッシュの研究者、デウス・プロメス博士を演じるのは『20世紀少年』シリーズや『シン・ゴジラ』の古田新太。
外連味溢れる作画・演出が持ち味であるアニメーションスタジオ「トリガー」制作のオリジナル・アニメーション。
監督・脚本は『天元突破グレンラガン』『キルラキル』でもタッグを組んだ今石洋之&中島かずきコンビであり、両作品に共通しているブッとんだテンションとド派手なアクションは本作でも健在。
正直『グレンラガン』も『キルラキル』も個人的にはハマらず、最後まで視聴しなかった。
本作も観に行こうか迷っていたのですが、非常に評判が良いことと、興行収入10億円突破記念として前日譚が追加されたということで鑑賞してみることにしました。
この手のロボットアニメの観客は男だけだろうと思っていたので、劇場に女性が多くて驚きました。
観客の6〜7割は女性だったと思います。その理由は映画を観ればわかるわけですが…。
声優陣は稲田徹さん、新谷真弓さん、檜山修之さんなどのトリガーお馴染みの方々に加え、主人公ガロが松山ケンイチ、ライバルであるリオが早乙女太一、カリスマ指導者クレイが堺雅人という豪華っぷり。
ケンコバと古田新太が凄くどうでもいいキャラクターで出演しているのは謎。
松山ケンイチの熱演っぷりがすごい!
松ケンは熱血漢な主人公を完全に演じ切っており、本職の声優と比べても全く遜色なし。
そして堺雅人の怪演っぷり!
日本を代表する俳優はやっぱり凄い!堺雅人のブッとんだ演技を聴けるというだけでも、本作を鑑賞する価値があると言っても過言ではないです。
アニメらしくデフォルメされたキャラクターが繰り広げるアクションは流石のトリガーというべきでしょう。
特にオープニングで繰り広げられるガロvsリオがとんでもない!🔥🔥🔥
開幕直後からこれほどのアクションが展開される訳ですから、期待は否が応でも上がります。
…が、正直ここがピークだったかなぁ。
面白い作品ではあるのですが、映画的な面白さというよりもTVシリーズの総集編を観てるような気になりました。
シナリオを詰め込み過ぎて、一つ一つの描写が薄くなっている気がします。
マッドバーニッシュとの戦いに専念するか、突然変異種「バーニッシュ」の社会的立場や差別、変異する原因と解決などに焦点を絞って映画にした方がシナリオ的に収まりがいいのでは?
地球崩壊とかそこまで話を拡げる必要あるか?
なんでも知っている博士が終盤にポッと出てくるのにも違和感。もっと自然に話に絡めることはできなかったのか?🤔
バーニッシュ化する原因も正直よくわからない。あんなよくわからん原因にするのなら、原因不明の現象扱いにして説明しない方が良かったのではないかと思います。
レスキュー隊の同僚もほぼモブと化しており、もっと魅力的に描けなかったのかと思ってしまいます。
ヒロインの扱いすら雑。
ひとりのヒロインすらうまく扱えないのに、あまつさえもうひとり主要女性キャラクターを追加するという暴挙。当然うまく扱えていません。
バーニッシュエンジンの件も、若干ギャグっぽく描いていることに違和感。あそこはもっと惨虐な描写にしといた方が悪役が映えるでしょうに。
アニメーションは楽しいのに、シナリオがお粗末なせいで入り込めなかったというのが正直な感想です。
トリガーファン、松山ケンイチと堺雅人の熱演を楽しみたいという人にはオススメ。