「局所的・寓話から普遍性・現実性へ」シベル ヴィアゼムスキーさんの映画レビュー(感想・評価)
局所的・寓話から普遍性・現実性へ
素晴らしい。トルコ山間部の小さな共同体、そこに住む口笛言語(口笛でしか会話できない)を使う女性シベル。彼女の家父長的・因習的な抑圧からの闘争/逃走が普遍的メッセージを放つ。逃亡男性との出会い、寓話的な狼の存在など、物語的な厚みもあり見応えがある。何より山岳地帯の風景がとても魅力的。主演ダムラ・ソンメズの目力に圧倒された。
主人公シベルの妹役が『裸足の季節』に出演していたエリット・イシジャン。あの作品も古い因習から抜け出そうとする話だった。同じトルコ映画のレハ・エルデム『JIN』(大阪ヨーロッパ映画祭の邦題は『私の名はジン』)や、ジョージア映画『花咲くころ』を想起したな。
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