劇場公開日 2019年11月15日

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「【”故、元イタリア首相・ベルルスコーニは老醜を晒したのか?”今作は、イタリアの映像の魔術師、名匠パオロ・ソレンティーノ監督がシニカル且つユーモラスに彼をモデルにした男の老年期を描いた作品である。】」LORO 欲望のイタリア NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”故、元イタリア首相・ベルルスコーニは老醜を晒したのか?”今作は、イタリアの映像の魔術師、名匠パオロ・ソレンティーノ監督がシニカル且つユーモラスに彼をモデルにした男の老年期を描いた作品である。】

2025年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■シルヴィオ・ベルルスコーニ(トニ・セルヴィッロ)は、僅かの票差で首相の座を追われたが、虎視眈々と復帰を画策しつつ、4期目の首相の座を狙っていた。
 だが、その合間では彼に取り入ろうとするセルジョ・モッラ(リッカルド・スカマルチョ:顔がムッチャ濃い俳優。日本で彼に対抗できる俳優は、阿部寛さんのみである。「テルマエ・ロマエ」!)を使い、美女を多数呼び、半裸パーティを愉しむのであった。
 だが、彼の妻ヴェロニカ・ラリオ(エレナ・ソフィア・リッチ)はそんな彼を冷ややかに見ているのであった。

◆感想

・今作の前半は、映像の魔術師、名匠パオロ・ソレンティーノ監督らしい、エロティックで豪奢で華麗な映像が展開される。
 美しい女性達がトップレズで登場し、セルジョ・モッラに呼ばれた女性は船上で大股開きまでしている。

・だが、徐々にトーンは暗くなり、シルヴィオ・ベルルスコーニの権力欲、性欲、欲、欲、欲がえげつないほどに描かれるのである。
 特に、彼が70歳にして気に入った20歳のモデルのノエヌ・レティツィアをベッドに誘うシーンで彼女が言った言葉。
 ”口臭が、お爺さんと同じなの。イヤという事ではなくて・・。”と言い、部屋を出て行ってしまうのである。

・再後半の、イタリア地震のシーンは脚色がしてあるが、彼が不動産王として地位を成した事に対するシニカルさを暗示しているのだろうか・・。
 けれども、彼は被災したお婆さんには約束通り入れ歯を贈っているのである。

■ベルルスコーニ首相武伝の数々・・。

1.マフィアとの癒着、横領、脱税の数々。首相時代には捜査を特権で止めていたが・・。

2.身長170センチという小男ながら、シークレットブーツを愛用していた事。虚栄心が見て取れるし、今作でのベルルスコーニの髪の生え際は不自然すぎる。

3.国際的失言の数々。

  1)超有名なのは、オバマ大統領に対し”良く日焼けしている人。”と言った事。マジっすか!序でに夫人にも同じことを言い、今作でも描かれている通り、サミットでの軽口を禁止されている。

  2)ドイツのメルケル首相の事を”あの女とやる事は無理!”マジっすか!

4.今作でも描かれている通り、無類の女好き。
  女性がストリップをするパーティ”ブンガブンガ”を開いていたところをスクープされ、”ブンガブンガ”はイタリアで流行語に。ある意味、そんな人を首相にするイタリア人も凄い。愛されていたのか?

ー とまあ、トランプもビックリの人でありました。ー

<こりゃあ、ヤッパリ8月末公開の「PARTHENOPE  パルテノペ ナポリの宝石」は観ないとなあ。
 映像の魔術師、名匠パオロ・ソレンティーノ監督の映像が楽しみです。>

NOBU