「ソレンティーノ映画は、饗宴のあとに漂う人生の静けさが見どころ」LORO 欲望のイタリア ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ソレンティーノ映画は、饗宴のあとに漂う人生の静けさが見どころ
ソレンティーノ映画は「饗宴」という言葉が似合う。溢れる音楽と、終わらない祝祭。惜しげなくさらされる女性たちの肢体。が、どんなパーティも盛りを過ぎると、あとは陰りに向かって突き進むのみ。ソレンティーノは「祭りの後の寂しさ」を主人公の人生に重ね合わせ、永遠に続くかと思われていた栄華が一瞬の煌めきでしかないことを、大きなうねりのようなタッチでダイナミックに浮き彫りにする。その豪腕さが面白い。
悪名高きベルルスコーニをメインに据えた本作でもその趣向は健在だ。肝心の主人公がなかなか姿を現さないというトリッキーな構成に多少面食らいながらも、この男の怪物性は観客の期待を裏切らない。ただ政治劇があまりに早く移ろうので、初見では筋書きを掴みにくいきらいもある。その分、終盤の展開がかなり意外で見入ってしまった。恐らくソレンティーノが真に描きたかったのは、映画が一転して静謐さに包まれるこの部分だったのだろう。
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