「ベルルスコーニの欲望をデフォルメした傑作」LORO 欲望のイタリア エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
ベルルスコーニの欲望をデフォルメした傑作
世界有数の資産家でありイタリアの首相をも務めたシルヴィオ・ベルルスコーニ。老いてもなお盛んだったが、彼に群がる美女たちに愛はなかった。彼の果しない不実が本当に大切なものを奪っていった。
ある意味狂気。常人ではないベルルスコーニをトニ・セルビッロが怪演した。今回は説得力のある歌唱も聴き逃せない。てか、感動した。
「グレート・ビューティー 追憶のローマ」や「グランドフィナーレ」にあったストレートな感動はここにはない。むしろこの作品に、そしてベルルスコーニに嫌悪感を覚える方も多いと思う。そこがパオロ・ソレンティーノ監督の狙いであり、作家魂なのだろうが。
70歳のベルルスコーニに20歳の女の子が本音を伝えるシーンは残酷だ。金で買えないものがあった。
そして大地震後の復旧作業を淡々ととらえたエンディングが作品の色彩を一気に変えた。これがベルルスコーニとイタリア国民との距離を際立たせた。
コメントする