「日本社会のダメな点が凝縮されていた」あの日々の話 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
日本社会のダメな点が凝縮されていた
玉田真也監督の舞台は観たことがなかったが、この方は相当にセンスがあると思った。大学生が集い一夜のカラオケルームに、誰でも覚えがありそうなシチュエーションを見せているだけだが、日本社会のダメさが浮かび上がってくる。パワハラ、セクハラ、同調圧力、女同士のマウント合戦、世代間格差、ギスギスしているのになぜかみんな楽しそうに「振る舞っている」。誰かの共感を誘うのではなく、昆虫観察でもするかのような冷静でシニカルな視線を持った作品だ。見事な人間観察能力だと思う。そして、これが社会に出る直前の大学生の姿だというのがまた面白いし考えなくてはいけないところ。この感覚を持って社会に出た人間がこの国には大勢いるわけだ。
カラオケ店員役の太賀が良い。大学行っていないから、何も知らず傍目にはすごく素敵な関係に見えているのだが、映画を観ている観客は必ずしも同じ感想を持たない。このズレについて考えるのがすごく楽しい映画だ。
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