「オーガズムからカタルシスへ」プロミス 氷上の女神たち kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
オーガズムからカタルシスへ
アジア冬季大会のために女子アイスホッケーチームが急遽作られることになり、元男子選手で怠惰な生活を送っていたカン・デウンが監督に抜擢される。脱北者で北朝鮮チームのエースだったイ・ジウォンを熱烈なラブコールで選手に引き入れるも、なかなかメンバーが集まらない。アジア大会では4ヵ国しか出場しないから1勝すればメダルが取れると安易な考えに惹かれた者もいたが・・・主な選手6人が集まった。
○イ・ジウォン・・・脱北者だが妹ジヘだけをやむを得ず故郷に残してきたことが気がかり。脱北者として見られることが嫌でフィンランドに移住する夢がある
○チェジョン・・・ショートトラック選手。人気選手を転倒させたことで国民的嫌われ者となってしまった。本人はホッケーへの派遣だと言ってる。
○キム・ガヨン・・・崖っぷちフィギュアスケート選手。結婚願望あり。
○コ・ヨンジャ・・・元フィールドホッケー選手の太ったおばさん。メダルが欲しい。
○シン・ソヒョン・・・インラインホッケー選手の中学生。最年少選手と呼ばれたい。天才的GKぶりを発揮する。
○チョ・ミラン・・・協会の事務員。ローラースケートが得意で、日当が貰えるという安易な理由で参加。コーヒー淹れるのが上手い。個人的には彼女が一番好き!
といったデタラメな寄せ集めチームだったが、最初は小学生チームにも負けるも、合宿を行い徐々に力をつけていき、YMCAの助力も得ることになった。そして世界大会の布石として青森で開催されるアジア大会に参加することになった。しかし、4ヵ国しか出場しないと思われていたのに北朝鮮チームも参加することになりメダルが遠のいてしまい・・・
前半は韓国映画らしいコミカルな演出で徐々によくあるスポ根ものへと進化する。そして急造チームの理由も冬季オリンピックの誘致するためだったと聞かされるも、もう選手たちの絆は壊されることはない。各選手が心を一つにする様子はバラバラながらも素晴らしい。ただ、他のスポーツ映画と異なるのは脱北者の主人公とその妹の絆だろう。ラストの試合は涙なしでは観られない。
尚、実際の青森大会の中国戦では30対1という屈辱的な得点差であったりする。成長したとは言え、そんなに僅差のゲームになるほど甘くないってことか。2018年に平昌冬季オリンピックが開催され、主催地の韓国チームはもちろん参加資格があったのだが、直前になって不参加の北朝鮮チームから派遣され南北合同チームとなったことは記憶に新しい。政治的合同チームではあったが、もしイ・ジウォンとリ・ジヘの姉妹の絆がそのきっかけを生んだのなら、その過程も映画になればいいのになぁ・・・まさしくカタルシス。
2022年2月4日からコロナ禍にもかかわらず北京冬季オリンピックが開催されますが、東京オリンピックは興味なかったものの、今回は見る気満々です!