「いつか私があなたに触れたら」レイス KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
いつか私があなたに触れたら
悪意のある霊なのか、悪意のない霊なのか。
3人で住むには広すぎる古い屋敷自体が呪いやいわく付きだったのか、ケイティの妊娠をきっかけに家族の隙を突いているのか。
どちらかわからない時間が一番面白い。
予告も何も見ず「レイス」という言葉の意味も調べなくて良かった。
女の子の霊に関して予想はつくけどその本性がいまいち掴めずピンと来ないでいて、そのモヤモヤしていたものが最後の最後でハッキリ示された時には胸がじんわり温まって不覚にもほんの少し感動してしまった。
ストーリーは良いけどあまりにもチープな作りで、与えられた役割をそれぞれ下手な演技で大袈裟にこなしていく様子に若干萎える。
登場人物の行動一つ一つが薄っぺらく見えてしまうのが残念。悲壮感もっと頂戴。
そのホームビデオ感はなんなんだ。
特に司書や神父の取って付けた感は半端ない。全く生かされない盲目の設定は必要なのか。
唐突な悪魔祓いのシーンの一人コント感は笑えた。
それまでの恐怖感が非常に少なく悪魔による弊害をあまり感じられないので拍子抜けしてしまう。
安っぽく支離滅裂でも、案外温かいストーリー展開や霊の感情の流れと仕掛け方が好き。
単なる悪魔祓いだけに落とし込まないつくりが良かった。
悲鳴と共にドローンのように勢いよく進む映像演出は結構心臓にくるものがある。
スロー再生したらスタッフの手先が見えるんじゃないかと変な心配をしそうになるポルターガイスト現象の手作り感も逆に好き。愛嬌あっていいじゃない。物足りなさは否めないけれど。
いつか私があなたに触れたら…。
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