「見終わった後から考えて納得する映画」ザ・ミスト ハムさんの映画レビュー(感想・評価)
見終わった後から考えて納得する映画
観ている時は、他のレビューでも書かれている通り、スケールが小さいように感じたり、主人公である両親のドジにもどかしさを感じていました。最後のオチにも「なんだそりゃ!」と思いました。
あの両親はずっと娘のために必死で病院を探したり、地震が発生した後もずっと娘のために必死で酸素を探したりバッテリーを変えたり防護服をとりに行ったりしていたのに、
実際は娘には必要なかった。
災害が発生した後娘が生き延びるために必死でやっていたことは全く必要ないことだったのに、それに気づかず父親は怪我をし、母親は亡くなってしまう。
その展開を頭の中で反芻していた時、ふと思いました。
これはヘリコプターペアレントへの皮肉なんじゃないか。
この映画では、ミストが発生した原因やミストの成分が何なのかということに一切触れていません。
つまり自然災害の恐ろしさを伝えたいわけでも、温暖化防止を訴えたいわけでもない。
ただ自分たちが「この子は私たちがなんとかしなければ生きていけない」と思っていた娘が、全く親の力を必要とせず、平気で生きていけている。
ラストはそのことを痛烈に感じさせるように仕上げています。
そう考えると、その制作側の狙いをストーリーが展開する中で、観る側に気づかせずに作ったということに、この映画の力を感じました。
そして、もう一つ観た後から考えると、むしろ良いと思えた点は、父親がこの災害直下でスーパーヒーローのようになってないところです。
実際、こんな恐ろしい災害が起きた時、一般市民ができることなんてたかが知れてます。
焦りと恐ろしさで頭が回らなくなるのは当たり前。ハリウッドのような、何故かダメなパパが突然スーパーヒーロー並みの動きをする方がやっぱり変です。