劇場公開日 2018年12月1日

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「発表報道の危険性と調査報道の重要性」共犯者たち ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0発表報道の危険性と調査報道の重要性

2018年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

世界報道自由度ランキング2018年、韓国は第43位、日本は
第67位で、日本は韓国より下です。
この映画で描かれている韓国より、日本のほうが報道自由度がない
というのが現実です。

発表報道は、あるテーマや事件に対して、主体的に分析すること
もなく、様々な取材源から情報を積み上げることもなく、官公庁
や捜査機関などの発表を、そのまま発表する報道です。

調査報道は、あるテーマや事件に対して、取材する側が主体性と
継続性を持って様々な取材源から情報を積み上げていくことに
よって事実を突き止めていこうとする報道です。

報道機関が権力に屈すれば、発表報道ばかりになります。
報道機関が権力に屈しないためには、調査報道は不可欠です。
日本では、発表報道と調査報道どちらが多いのかを考えてみれば、
世界報道自由度ランキングでランキングが低い理由も納得できる
はずです。
報道機関が権力に屈すれば、国民の将来はないことを改めて、
示してくれます。

報道機関が権力にどのように占領され、報道機関が権力にどのよう
に反撃し、報道機関がどのようにマスゴミになったのかを伝えて
くれる映画です。

韓国では、マスメディアより、インターネットのほうが信用される
ようになった背景が理解できました。

報道機関が権力に反撃するには、多くの犠牲と国民からの支持が
必要です。

日本の報道機関は、権力に反撃するために多くの犠牲を支払う覚悟
はあるか。
日本の国民は、権力に反撃するために、報道機関を支持する覚悟は
あるのか。
右翼は、権力の手先として利用される危険性を理解しているのか。

日本で似たような事件に相当するのは、福島第一原子力発電所
事故です。
福島第一原子力発電所事故は、炉心溶融など一連の放射性物質の
放出を伴った原子力事故で、国際原子力事象評価尺度 において
最悪のレベル7(深刻な事故)に分類され、今現在も放射性物質
を放出しています。
日本の報道機関は、発表報道に終始し、調査報道しようとした
「報道ステーション」ディレクターとして、福島第一原子力
発電所事故の取材を続けていた岩路真樹氏が自殺で亡くなり、
キャスターの古舘伊知郎氏は降板しました。

日本の報道機関は、2020年東京オリンピックや2025年
大阪万博の報道については多くの人、資材、資金、時間を投じ
て報道しています。
日本の報道機関が、福島第一原子力発電所事故を、どのように
報道しているのか、報道していないのかを見てみれば分かると
いうことです。

日本の報道機関が権力に占領つつあり、日本の報道機関が権力に
に反撃することもなく、日本の報道機関が国民に見放されマスゴミ
になるのは遠くない将来です。

言論や報道の自由は、決して与えられることはなく、勝ち取る
しかありません。

映画を理解したいという人にはパンフレットの購入をお勧めします。
「スパイネーション 自白」の映画のパンフレットと一緒になって
いてお得です。

ノリック007