「役所広司の気迫一本槍」峠 最後のサムライ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
役所広司の気迫一本槍
原作未読で、主人公である河井継之助のことも全く知らなかったが、コロナによる度々の延期を経て、やっと公開されたこともあり、結構期待感を持って観た。
大政奉還後の混乱の時代に、官軍とも幕府軍とも異なる第三の道を目指す人物がいたことに、まず驚く。海外から最新兵器を輸入し、今で言うとスイスのような「武装中立」を目指したのだろう。しかし、「外交力」は弱かった。官軍への嘆願書の取り次ぎを頼んだが、断られ、結局は全面戦争に突入する。あれだけ、民のために戦を避けると言っておきながら。
一度は奇襲により城の奪還に成功したものの、戦力差には抗えず、敗走し、自身も傷を負う。それでも最期まで、後世の人たちに評価を委ねるとして、自ら信じる義を通す。
とにかく全編、役所広司の気迫がみなぎっている。気迫一本槍といった感じ。その分、人物像の深みや厚みには欠ける。河井の先駆的な発想の源となった洋学の修養や、西洋人との交流といったエピソードにもう少し触れられていれば、理解しやすかっただろう。
松たか子をはじめ、他の出演者は、どれも特別出演といった感じ。松たか子の踊りでの手さばきはきれいだった。
最後の方は駆け足で、ラストもあっけない感じ。もう少し余韻がほしかった。石川さゆりの歌はよかったけど。
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