ヘル・フロント 地獄の最前線のレビュー・感想・評価
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原題通り「旅路の果て」でいいじゃないか
第一次大戦ものを観るたびに、あの塹壕戦に何の意味があったのかと不思議になる。長らく停滞する前線。時々総攻撃や強行偵察で陣地を奪うが、またすぐ取り返されて元に戻る。そのたびに積み上がる犠牲者。何か命の在庫一掃ゲームをやっているように見えてしまう。そんなあまりにも理不尽な戦場を描いた戯曲の映像化なのに、なんだこの題名は。戦争活劇と勘違いされるだろ。配給会社のセンスを疑う。(まあそうしないと観に来てもらえない大人の事情も分かるがね)
良かった
リメイクと聞いて、元になったのを見たいと思いつつ、ポールベタニー出ているしで見に行きました。
戦場の厳しさや不条理さ、無念さが上手く情緒的にならずに描かれていて見事だった。上官や下士官の命の使われ方。
ポールベタニーはマスコマのポールベタニーでした笑
トビージョーンズも彼らしい安心できる個性と存在感!
しかし邦題はなぜ原題ままではダメだったのか……。
戦争とは何か
この作品には戦争の大義は描かれない。
祖国のため。
民主主義のため。
こうしたものは描かれず、塹壕の中の兵士達の数日間の緊迫感や絶望に近い焦燥感と、そして結末を通して、逆に戦争とは何かということを問いかけているように感じられる。
むさ苦しい男達の中に送り込まれたラーリー少尉は、無垢な少年のような出で立ちで、戦いの違和感を際立たせる。
派手さはないが、戦争を別の視点で捉えた寡作だと思う。
駒になる人たち
100年前の戦場、ボロくて空気の悪い泥まみれの最前線の塹壕に籠る兵士たちの数日間。
酒浸りのヒステリックな中間管理職大尉、慕われるおじさんに臆病者や陽気な食いしん坊な将校たち、そして途中入隊の若い少尉。
「戦争の駒」になる人たちそれぞれの細かいパーソナリティと人間模様のやり取りにグッとスポットを絞って寄せ当てられるので、揺れる彼らに合わせて自分の精神もグラついていた。
ストーリーの大半が人と人のやり取りになっていて派手なドンパチシーンはほぼ無し。
そのためか、少し挟まれる攻撃シーンの緊張と不安と緊迫感は半端ではなく、非常に苦しかった。
明らかな結果を間接的に見せてくる演出は逆により重くのしかかってくる。
理不尽な偵察作戦を突き付けられるスタンホープの苦渋。
常にイラついているように見える彼の慟哭は相当ショッキングだった。
作戦に向かう兵士たち一人一人に声を掛けて脚に触れる仕草がとても印象的。
仲の良かった恋人の弟、ラーリー少尉に向ける複雑な心境は容易に想像できる。あの時咄嗟にジミーと呼んでくれて良かった。
ついこの間高校生になりました、と言っても違和感のないほど幼く見えるラーリー少尉には若干の違和感があった。戦争や軍隊に全く詳しくないため、あんな若くて経験の乏しい人が階級を持てるのかと不思議に思う。
しかしあんなに薄暗い中でもエイサ・バターフィールドのブルーグレーの瞳は透き通っていて、とても綺麗だった。
戦争が仕事であり、理不尽な中で精一杯戦った結果のやるせなさに胸がえぐられる思いになった。
俯瞰のラストシーンで虚無感に襲われる。
いたって地味目でハラハラしたり面白く観るような作品ではないけど、それぞれの人物像がしっかり焼き付いてきて、感情に直接訴えてくる姿勢が好き。
文章にするとたった数行で終わる戦時の出来事にも、人格を持った沢山の人の思いや犠牲があることを改めて実感。
泥の地面を歩く足のアップのカットが頭に残った。
そして何の肉だったんだろう…。
言えない肉
第一次世界大戦中の最前線の塹壕に配備された中隊を率いるイギリス軍将校達の話。
最前線の隊を率いる大尉を中心とした将校達の心理や振る舞いをみせていくストーリーで、上からの理不尽ともとれる命令やプレッシャーと、仲間や部下達への思いの中での不安定な感情が伝わってくる。
直接的な戦闘の描写はあまりないけれど、極限状態のヒリヒリした様子に引き込まれた。
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