「冬の心象風景」赤い雪 Red Snow 十二滝わたるさんの映画レビュー(感想・評価)
冬の心象風景
映画とは光と影と背景としての映像を象徴的、また、心理と感情を鮮明に使用できる点において、他の演出を圧倒的に凌駕する。制約された約束事に支えられた伝統的舞台の圧縮された美の感覚も魅力的ではあるが、可能性の大きさにおいては映画に勝るものはない。自由であるがために見てくれの映像技術による程よい勧善と娯楽とが幅を利かす商業主義の時代であるからこそ、志向性の高い映画こそもっと評価されるべきであろう。
さて、冬景色の山あいの街の夜中に冬景色の映画を見た。
幼き心に映し出され記憶される精神の中枢に占める大事は、些細な愛情の濃淡であることは、誰もが認め誰もが経験することだろ。
この映画は、30年の歳月を経なければ解明されない程の迷宮の森に迷い混んだ魂の叫びのようだ。
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