「「家族の崩壊モノ」とも「中年期の危機モノ」ともつかない曖昧な作品」コネチカットにさよならを 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
「家族の崩壊モノ」とも「中年期の危機モノ」ともつかない曖昧な作品
原題"The Land of Steady Habits"(堅実な気質の州)とはコネチカット州のニックネームで、邦題はわかりやすくコネチカットの名前を出したもの。
映画はその堅実な気質の人々が住む土地で、早めに会社からリタイアし、妻子と離れて自由に生きようとする中年男と周囲の人々との軋轢から、米国家庭の基盤の脆さを描いている。
設定からみていわば第二の人生モノかと思いきや、主人公にはろくにプランも、意欲も、経済的基盤もないので、お先真っ暗。奥さんには「こんな家、くれてやる」と啖呵を切ったものの、残ったローンさえ払えないから、遠からず差押え確実である。
奥さんは奥さんで、主人公が出て行ったら早々と別の男を引きずり込むが、それは彼の友人だった。もう2年も前から2人は不倫していたのである。
この夫婦が家族づきあいをしている一家があり、そこでの定例パーティに主人公は招かれて出かける。ところが、彼が顔を見せた途端、「何故来たんだ」とでもいうような白い目で迎えられてしまう。
2つの家族は表面的にはなごやかな関係だったが、実はこの友人一家は奥さんと友達というだけの話で、主人公など添え物にすぎなかったのである。そして彼の方も、一皮めくれば友人一家など大嫌いなのだ。
2家族ではともに息子が親に反感を抱いており、友人家族の息子はドラッグに手を出しては矯正施設に入れられそうになる。主人公の息子もアルバイト先の語学学校で生徒から詐欺でカネを巻き上げ、奥さんの家から追い出されてしまう。彼等は自由に生きようとする主人公に助けを求めてくるのだが、不運もあって友人家族の息子は薬物で中毒死してしまう。
それをきっかけに、主人公と息子は堅実な気質の土地の、一見堅実だが内情はボロボロの2家族から離れて生きていくことに決める。息子はきちんと仕事に取り組み、主人公は新しい恋人とデートを楽しむシーンで終わる。
以上紹介したようなストーリーなのだが、どうにも展開が曖昧で、一見しただけでは何を描こうとしているのかはっきりしないのである。後で内容を検討して、小生は「ああ、家族の崩壊の話なんだろう」と推測した。wikiの紹介では「中年期の危機を扱った作品」ということらしい。焦点が不明確で、何を描きたかったのかが曖昧ということだろうw