「難解で奥深い作品」インビジブル 暗殺の旋律を弾く女 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
難解で奥深い作品
『インビジブル 暗殺の旋律を弾く女』 原題は『In Darkness』
以前視聴した時、レビューするのを忘れていた。
今回改めて視聴したのは、この物語が面白く、複雑な内容を再確認したくなったからだ。
2018年の作品
さて、
問題は、主人公ソフィアは「目が見えていた」ということに尽きる。
これに関しては視聴者それぞれに意見があるだろう。
しかし実際、「見えていた」のだ。
初回で私は、その事が曖昧になっていて、事件の解決が視力を回復させたと思っていたが、今回見て思うのは、見えないフリではなく、見えないと自分に言い聞かせるほど、ソフィアの信念が強かったと認識した。
これは並大抵のことではない。
家族の仇であるラディチ
絶対に復讐をやり遂げるために自分に仕掛けた嘘 そして着実に実行していく信念
何度も挿入されるソフィアの過去の断片
さて、、
非常に興味深いのが、車中でラディチがソフィアに話した事実だ。
同時にここで暗殺が3度失敗するが、ソフィアはラディチに「裏切者」の正体を教える。
この心理を読み解くのは非常に難しい。
最後にソフィアという名前は偽名だというのがわかる。
本名ベルマ
そして断片的な記憶
もしかしたらソフィアは、ナイルたちによってソフィアという少女の記憶を洗脳されるように刷り込まれた可能性がある。
実際、おそらくラディチの話は本当だ。
彼自身、人間の心など持たないことを公然の事実としている。
だから娘の自殺にも悲しくはない。
娘の写真の眼を針でこすりつけるシーンにそれが見て取れる。
家族を皆殺しにされたと教え込まれたソフィア
実際に正しいが、父のピアノの記憶と母の記憶、そしてナイルが兵士だったこと。
ソフィアという少女は死んでいること。
ソフィアの記憶は、刷り込まれたものであり、ナイルたち組織の計画だった。
ソフィアの記憶の中で、姉が目隠しされているが、実際にはソフィアが目隠しされていたんではないだろうか?
記憶の断片と、本当の記憶
ベルマがナイルたちに救い出された時、確かに記憶と似たような状況だったのだろう。
ナイルたちはソフィアという少女の過去をベルマに植え付け、長い計画を立てた。
また、
マークとアレックスは何者なのか?
警備会社の役員という表の顔
しかし、業務上仕入れた情報によってラディチから現金を奪おうとしていたのではないだろうか?
アレックスは非常にわかりやすいが、マークは驚くほどわかりにくい。
彼は最後に姉を見捨てる。
そしてベロニクのエコー写真を見せ「これが俺の肉親だ」と言った。
マークがベロニクに接近した目的は明確で、彼女が持っているUSB
それは、娘のベロニク自身が父ラディチを憎んでいたからだ。
父の所業がどうしても許せず、父を破滅に追い込む一心で集めた情報だった。
その過程でベロニクが自殺
自殺かどうかも問題だが、何よりマーク自身がベロニクを見ていなかった。
ただ、死んでしまったことに対しては一抹の責任を感じていたのだろう。
マークの人となり
これが難解だった。
にもかかわらずマークは好意でソフィアを守ろうとするしSexもする。
姉を見捨ててまでソフィアの元に駆け付ける。
この矛盾に満ちた言動
彼はこの世界の矛盾の象徴だったのか?
仕事よりもお金 女よりも姉 姉よりも死んだ胎児 自分の命よりもソフィア
なお、
再びソフィアの視力だが、
目的遂行のために自身の五感を使えないとする思い込み。
これこそ記憶の差し替えと同じ構造
実は見えていたというのは、ミルズも気づいた。
それは確かに演技ではあったが、本人にさえ気づかれないようにしていた。
目的であったラディチを、マークが付き落として殺したことで、ソフィアは無意識に視力とつながった。
そして見てきたマークという人物の正体
敵であったマークの行動は、本当に何を意味したのだろう?
マークもまた、姉に洗脳されていたのだろうか?
最期、見えないこと、目隠しされることをマークは希望した。
目隠しのSex
見えていたのは自分の心だったのだろうか?
そこに見た自分の真実
目的のためにやってきたことは、人間として最低のことだったと感じたのだろうか。
目隠ししながら死ぬということは、「僕は今まで何も見えていませんでした」ということか?
目隠しした時、初めて気づいた自分の内面
見えないことで見えたもの
マークの本心
気づいたのは良かったが、何もかもすでに遅すぎた。
そして、
ミルズは今からいったい何を追いかけるのだろう?
また、
ソフィアには行く場所さえない。
ラディチとの車内 彼の話
記憶が書き換えられていたこと。
組織の目的に利用されただけだったこと。
実の父
この時ソフィアは、ベロニクを思い出しただろう。
父であっても許せないことがある。
そんな中、マークたちによって巻き込まれるように死んだこと。
死んでも絶対USBは渡さないという彼女の強い意思
嘘のない事実を知り、自分で考えて行動したベロニク
何もかもふりだしに戻されてしまった感は否めないソフィア
結局、復讐心は何も生むことはなかった。
この恐ろしいループ
てくてくと歩き出すソフィアは、その闇から逃れたいのだろうか。
この悪夢の連鎖のひとつの鎖になっていた自分自身
それに気づいただけで、明日への一歩になるのだろう。
非常に難しく、素晴らしい作品だった。