「喜劇」記憶にございません! U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
喜劇
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安定の中井貴一さん。
いや、面白かった。
以前程のパワーは感じないものの三谷監督が帰ってきたって感じの今作だった。
人物の配置が面白くて、それぞれのキャラにしっかりとした設定と背景がある感じは、舞台を主戦場においていた監督ならではかと感じる。
中井さんの抜けた芝居もさることながら、名優草刈正雄の懐の深さに感銘。
木村さんの英語に舌を巻き、日本語のスピーチにグッとくる。
小池さんも好演であった。
ただちょっと食い足りないのが、前半のディーン氏。
彼は冷徹ではあっても横柄であってはいけないと思われる。彼の立ち位置が記憶を失くした総理よりもはるかに上であった為、それまでの総理の傍若無人さが霞む。
彼を通してみる総理は小物であった。
距離感と高低差が周囲が感じていた総理像やVTRとちぐはぐで気持ち悪かった。
後半になり総理を支える立場になってからは良かっただけに、ディーン氏には荷が重かったのかなぁと思う。
佐藤さんと中井さんのカットは長回しが目立っていて、佐藤さんには…喋る以外の余白がないのが、少し…残念でもあった。
若干のミスキャスト感も感じる…。
若干の中弛みや、なんじゃそら的な展開はありはするものの、俳優陣の伸びやかな息遣いを堪能し、喜劇らしい喜劇を見た感じ。
ぶっ飛んだシーンはあったにしても、それはそれでいいのだ。枠から飛び出てくれた方がコメディは面白い。
それもこれも、そこを履き違えない俳優陣がいるからこそ。
変化球ではない真向勝負な作品であった。
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