「記憶?人格?回復?」記憶にございません! にょむさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶?人格?回復?
予告がうまく出来過ぎていた…
予告の流れを想定すると肩透かしをくう
しかもこの映画、政治劇じゃない(^_^;)
ポリティカルフィクションではない…
政治上の問題解決が安易すぎる…でもそこはもうどうでもいいかな
全体的には楽しめました
三谷幸喜作品には好感度を感じる
彼の全作品を観たわけじゃないけどある種の清潔感があると思う
変にもやもやさせる寄り道がないのは、作者の計算高さだと思うし、ダレ場もない
キャラクターの個性と展開の軽快さを優先して、リアリティは脇に置く
そのやり方と、キャラクターのセリフから読み取れる説明が理路整然とさせる
だからこの作品においては観客それぞれの解釈だとかそういうのはない。真実は一つか二つ!
三谷幸喜は脚本執筆において、役者さんを当て書きするらしいですね
勿論、作品毎の"キャラクター"も加味して当て書きしているのは分かるけど、やはりそれが実にうまくてミスキャストがない
ただ設定のためのキャラクターというのが明確すぎて、役割分担が決まっていてそこにご都合主義を感じる人もいるかも…とは思う
この映画に出てるキャラクターはみんな
「いい人」なのです
記憶喪失になる前には悪評高く支持率も得られなかった総理大臣も、記憶を失ったらいい人だし、そのブレーンもいい人達(不倫していたあの人も、総理のキャラ変後はそれに合わせて途端にいい人)
政治ゴロもの人も、新官房長官の人も"結局は"いい人
奥さんも、対立野党の女性党首も米大統領ももう全員いい人
官房長官だけが唯一の悪役だけど、そのやっつけ方は雑…
そういうとこに尺を割かないんだね
三谷幸喜作品の特徴の一つとして、観てるこちら側が「ああこのシーンで笑ってほしいんだなあ」ってのが如実に伝わってくるんだけど、劇場で笑ってる客が誰もいない(上映回によるかもしれませんが今回も誰も笑ってませんでした)という現象が起きます
でもそれがすべってるわけじゃなくて不快なわけでもなくて、結果的に作品の雰囲気を埋めているんですね(刺客の武器がパチンコ玉って…あのシーン、私的には生暖かくも目を逸らしたい)
クライマックスは国会中継での妻への愛の告白
そして囲み記者の間を縫っての妻との抱擁
これでドラマ展開としてはオチがついたけど、結局は「人は変われる」をやりたかったんですね、満腹です( ^ω^ )