「自立と保護の狭間のドラマ」37セカンズ Roy60Jinさんの映画レビュー(感想・評価)
自立と保護の狭間のドラマ
才能はあるが、社会から隔離的に育てられた障碍のある主人公(職業:漫画家)が、自立に向けて、母の監督下から抜け出し、自分のアイデンティティや生き方を模索する。
非常によく書けている脚本だと思いました。
何の事前知識もなく見始め、タイトルの37秒が何を意味するのかがわかりませんでした。ラストに差し掛かり、主人公が抱えていたモヤモヤが解決する中で、37秒の意味が明らかになり、タイトルの意味をそこで考えさせられた構成は、なかなか憎い演出だなと感じました。
また、映画の冒頭でトイカメラ風に街を撮影した演出も謎に感じましたが、中盤で酔った主人公のセリフからその意味を推察することができ、伏線を感じながら鑑賞することができました。
ストーリーそのものは、親子関係が丁寧に描かれており、自立しようとする障碍のある娘と保護し続けようとする母、お互いの主張と態度の軋轢がじわじわと形成されていく様子が見ていて切なくなります。ただ、映画の雰囲気はポップで明るい様子を保ち、あまりシリアスになりすぎないのも好印象でした。
コメントする