「度肝を抜かれた...スゴ過ぎる」オペレーション:レッド・シー ゆうまさんの映画レビュー(感想・評価)
度肝を抜かれた...スゴ過ぎる
2015年とつい最近起きた2度目の国外派遣の民間人救出作戦で、成功した実績を世界へアピールする為に即映画化されたのでしょう。
ダンテ・ラム監督はおそらくキャリア最大規模の予算を正しく使い、プロバガンダと言うと大袈裟ですがその皮を被った250%盛り盛りのブッ飛んだミリタリーアクション映画が出来上がりました。中国の軍人が活躍する映画として検閲もされてるのに、こんなゴア描写ありで出せた事も凄いです。
海軍全面協力の為、ホンモノの軍艦(映画初披露)だったり、詳しくはありませんが映画内の兵器どれもが存在感があり、軍事パレード状態!
そして作品テンポなんてクソ喰らえ!の如く9割は激しい銃撃戦と爆発の連続、加えてゴアもしっかり描写!「ランボー 最後の戦場」程ではないですが、リアルで痛々しいです。(特に迫撃砲を食らったバス内の民間人)
海軍特殊部隊のお話ですが、ほぼ陸上での作戦で民間人救出から核爆弾に関する情報入手によりさらに特殊作戦に次ぐ特殊作戦と続きます。
作戦内容自体は分かりやすいですが、救出・護衛・潜入・狙撃対決・篭城戦から戦車戦と色んなバリエーションの作戦や戦闘が文字通り息もつかせない程盛り沢山の為、映画の大筋というか大元の作戦目的が何だったのかを忘れてしまうかもしれませんw
シチュエーションありきで脚本を作ってるように見えましたが、その割には上手く連続で繋げられている方だなという印象。
装備はダサい中華銃ではなくSCARなどメジャーな銃器でハイエンドな装備に見え、個人的に良かったです。
正確な描写かは置いてミリタリーアクション部分は大大大満足ですが、一時期流行った欧米の同ジャンルと比べるとドラマ部分や部隊隊員についての掘り下げは最小限の為、この点については好き嫌いが分かれるかもしれません。
個人的には臭くなりがちな演出、それこそ感情に訴えようとするわざとらしさは不要だったので、戦闘や専門・役割を通して隊員のキャラを見ていくのが面白かったです。そして隊員の身体がボロボロになるまで闘い抜く姿だけで十分でした。
ラストシーンは本編とは「海」くらいしか関係がない唐突な"お約束"の威圧的なメッセージですが、香港の監督だからかやっつけ感により逆に全く鼻につかないと思います。が、アレルギーの方は暗転してデカ文字が出た瞬間に停止しましょう!
以下、余談
ストーリーラインが単純過ぎないよう「救出作戦」だけでなく核を巡る「現代戦」テーマにも感じるように絶妙に仕上げてあり、色んなミッションの連続性から5〜10年くらい前の現代ミリタリーFPSゲームライクでした。おそらくまんまAAAレベルでゲーム化出来たら、今のCall of Duty、Battlefieldより高品質なシングルプレイを提供してくれるでしょう。
話は脱線しましたが、アメリカが以前やっていたこのジャンルをエンタメの質で超える作品を作ってしまった事は事件で、アクション映画ファンには是非観てもらいたいですね。
アメリカ製でもマイノリティの兵士の視点や麻薬戦争など闇の深い現代戦争にフォーカスした今の路線の戦争映画も好きなので、棲み分け出来そうです。