サンストローク 十月革命の記憶
2014年製作/160分/ロシア
原題または英題:Solnechnyy udar
スタッフ・キャスト
- 監督
- ニキータ・ミハルコフ
- 脚本
- ニキータ・ミハルコフ
- ウラディミール・モイシエンコ
- アレクサンドル・アダバシャン
- 撮影
- ウラジスラフ・オペリアンツ
- 音楽
- エドゥアルド・アルテミエフ
-
マルティンス・カリータ
-
アナスタシア・イマモバ
-
ミリアム・セホン
2014年製作/160分/ロシア
原題または英題:Solnechnyy udar
マルティンス・カリータ
アナスタシア・イマモバ
ミリアム・セホン
監督・脚本ニキータ・ミハルコフによる2014年製作のロシア映画。
1920年のソ連革命派との戦いの末、命は保証するとして捉えられたロシア王朝側の白軍将校達の革命派による虐殺(海へ沈める)という歴史的事件を舞台に、一将校の思い出、甘美な一夜の恋を描く。
ヴォルガ川を運航する舟で見初めて恋の相手となる美女(ビクートリア・ソロウイオワ)が身につけていた空色の薄いスカーフが風に舞う様、彼女がはめている黒い手袋を脱ぐ様が、何とも美しく妖しい。舟を降りて泊まったホテルで一気に衣装を脱ぎ裸身となる彼女、映像は控えめながら何とも官能的であった。
そして、彼女が朝消えた後、教会へ通っていた少年との出会いと温かいやりとり、その背景となるロシアの風景の美しさに感銘。少年は新たに学んだ進化論がショッキングだったらしい。その延長線上でか彼が成長し、マルクス主義者として白軍虐殺の指示をするとは。
ロシアの歴史の必然なのか運命なのか、教養人たる主人公たちの、「どうしてこんな風になってしまったのか?」との問いが、突き刺さる。現在のロシアの知識人たちへの問いでもあるのだろうか?
白軍の大量処刑を命じたという女性共産党幹部ロザリア・ゼムリャチカ(ミリアム・セホンが名演技)のエキセントリックな性格描写も印象に残った。今も昔も変わらず、甘美ロシア(ソ連)の指導者というのは、命を平気で奪う輩なのだろうか。
原作はイワン・ブーニン(ノーベル賞作家)の「日射病」。
脚本は監督、ウラディミール・モイシエンコ、アレクサンドル・アダバシャン。撮影はウラジスラフ・オペリアンツ、音楽はエドゥアルド・アルテミエフ。
出演はマルティンス・カリータ、ビクートリア・ソロウイオワ、アナスタシア・イマモヴァ、ミリアム・セホン。
名将ミハイル・フルンゼが、最後迄 白軍の統治下にあった〈クリミア半島〉を占領すると
司令官だったヴラーンゲリ等はフランスに亡命し
残りは降伏を決める
(フルンゼは 罪の不問を表明)
映画は投降した彼等(白軍将校、軍関係者、警察官等市民も)の 悲劇的顛末を描いている
その中の一人である中尉は 回想を繰り返しながら、この革命の萌芽と敗北の原因を探す
(が、最後迄わからない)
彼等ブルジョアジーは(手品師が示唆したように)
「マルクス」は知らないし、農民や労働者の中に入り込んだものにも気付かないか、気にも止めない
〈種の起源〉を教えられたイェゴリがチェーカーとなり、Zemlyachka(またはロザリア・ザルキンド/ユダヤ人革命家)、Kun Bela(ハンガリーの共産主義者)と共に決断(粛清)を下す
〈ユートピア幻想〉を持たされた彼は(本当はありもしない)ボリシェヴィズムとキリスト教との共通点〈博愛と平等〉を彼等に確認したりしている
謎の美女の言動が いまいち意味不明だが、失われた美しいロシアの暗喩だろうか
(19世紀は文化の黄金期だった)
(海外の支援者の意味も?)
繰り返し流れる「あなたの声に心は開く」(サムソンとデリラ)には心揺さぶられる
私の愛にこたえて… 私の愛にこたえて…
ああ!注いで 注いで あの陶酔を…
全編 美しい映像で、残虐な場面も少ない
長かったが これも事態の進行に全く気付かなかった時間の重みに重なるような気もする
敗戦で文化は消滅するが、この革命ではそれだけでなく、ある種の人々も消滅させられたことを描いている