「アドベンチャーは進化する。これは、ひとつの区切り」デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆 TAKEさんの映画レビュー(感想・評価)
アドベンチャーは進化する。これは、ひとつの区切り
デジモンアドベンチャーは、当時夕方放送だった。学校が終わったあと寄り道せずに1時間かかるところを走って45分に縮め、株式上場を見ていたおじいちゃんに頼み込んでリアルタイムで見ていた。
ある日日曜朝の放送に変わり、最初は父がニュース番組を譲らず不満だったが誕生日にテレビデオを買ってくれ前よりリアルタイムでみられる機会が増えた。
最終回を迎え悲しかった。でも最終回直前のONE PIECEの映画で『02』の告知を見た。歓喜した。
大人になったあとも『Butter-Fly』を絶対歌った。時々木村カエラと間違えた。友人は気づかず結婚を祝ってくれたと思い大泣きしていた。間違えたことを黙っておいた。
『try.』の公開が発表された。興奮したがキャラデザに困惑した。リアルが忙しくなり翌日見に行ったらパンフレットが即完売して悔しかった。以降『try.』公開日に休みを申し込んだ。休ませてくれた。いい上司と会社に恵まれた。
和田光司さんが、水谷優子さんが、藤田淑子さんが、色々な人が旅立った。悲しかった。周りのみんなも悲しんでくれた。もう一度作品を見返した。やっぱり泣いた。
驚いたのはこんな風に思っている人が何人もいたことだった。先輩や後輩、Twitterの人々、お店の店員さん、みんなみんなデジモン世代だった。20年もの間みんな離れることもあったけど時々同窓会みたいにまた見たり調べたりしていた。
そして今日、『ラストエボリューション絆』を見た。ゲスト声優、『try.』の伏線未回収、CGモブの雑な出来上がりを除けば素晴らしいひとつの作品だと思います。
『02』メンバーの登場に頬が緩み、最後の敵がデジアドに縁が強い蝶を模したデザインに『にくいな〜』と感心し、黒幕の動機に同情し、ホイッスル・ハーモニカというアイテムの復活にため息をはき、太一たちの覚悟に涙した。ファンにはうれしい演出がたくさんあって観終わったあと清々しい気分でした。最後のあのシーンは、作品も無音となったあのシーンは客席も息も涙をすする音も殺し、時間が止まったかと思いました。それほどこの会場の多くの人が彼らの成長を見守ってきた人が多く、感慨深い気持ちになっていたんだと思います。
さて、この物語。本当に終わりでしょうか?いや、終わらないでしょう。こんなお金になるシリーズは終わらせられない?ファンが終わってほしくないから続けるしかない?この作品から離れた人たちのためにももっと斬新に作り替えて公開する?
否!冒険は・・・アドベンチャーは進化する!ある作家は言いました。キャラクターが自分(作り手側)の意思と違う動きや行動をする(せざるをえない)ことがあると。シリーズを通して様々なキャラクターが『無限大の可能性がある』『君たちならやれるかも』などと口にする。ひねくれた大人はご都合主義と言うかもしれない。でもやっぱり太一たちのようにあきらめない心は応援したくなるし、どの世代にもささると思います。この作品を見て、色々忘れていたことを思い出すいい機会かもしれません。是非デジモンアドベンチャーを見ていた人も、聞いたことはあるけど観たことがない人もご覧になってほしいです。大人になりたくない全ての人にささる映画です!