劇場公開日 2019年3月9日

「視覚と聴覚への文句のつけどころのない表現。 リアルな人の温かさを感じられるストーリー。」ROMA ローマ kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0視覚と聴覚への文句のつけどころのない表現。 リアルな人の温かさを感じられるストーリー。

2019年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画館にて鑑賞。

冒頭1分の素朴なシーンで視覚、聴覚、想像力をこのうえなく刺激してきた。

音が鳴ってる。
この音はなんだろうな。

カメラの水平移動に合わせて人が歩いてる。
先に何があるんだろうな。

映像を見てて自分のなかでの意識/心の根本的な動きが最初から最後まで心地よかったです。

視覚情報はグレイの映像が素晴らしい。
色が付いてたら意味が強くなりすぎてしまう。

色彩がないことで無駄な情報が省かれて画面に集中する。
向いている意識に応えるだけの美しいカット、面白い構図の数々。

音もまた素晴らしい。音楽でなく音。
人の歩く音。
水の流れる音。
草が揺れる音。
ラジオのノイズ
……現実的な音が鳴ってるだけ。
その耳への刺激がアンビエント・ドローンを聴いてるかのように心地よい。

日常の音がこうも面白いのか、と。
日々の聴覚への意識が変わりそう。

そして、ストーリーも味わい深い。
最初の方は穏やかな日々が延々と描かれて“音像/映像美による日常を眺める作品かな?”と思った。
でも後半は、あくまでも過度に盛り上げることなくじんわりと心に染みる話に。

出てくるのは基本的に良い人。そして人間味がある人。リアル。
だからこそ胸がキュっとなる。

だからこそ一人のゲスさが際立つ。
でもあの人も人間的なんだよなぁ。

ところどころ笑っていいのかわからないシュールなネタが炸裂してたのが奇妙だった;
先生;;;

視覚と聴覚への文句のつけどころのない表現。
そして、リアルな人の温かさを感じられるストーリー。
間違いなく良作でした!

P.S.
実際にROMAを見て素晴らしい作品だと実感しました。
でも自分の考えとしてはアカデミー賞は違和感があるんよなぁ。
Netflix発だから作品としての魅力が下がるとはまったく思わない。

でも映画館で上映されてる作品のレースに参加してしまうと、色んなモノが崩れていく気がする。

kizkiz