「映画館で観るべし。」ROMA ローマ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で観るべし。
とても素晴らしい作品ですが、自宅で観るとなるとたぶん飽きます。わたしは絶対飽きて途中で脱落したはず。
なので、映画館へ行きましょう。
劇伴がなく、鳥の声とかタイルを洗うブラシの音とか、遠くで聞こえるモブの喧騒とか波の音とか、音がめちゃくちゃ繊細で、完全防音の部屋とかない限り、自分ちの窓の外の音に紛れて魅力半減必至でしょう。
Netflixは今は未加入ですがAmazon primeで海外ドラマをiPhoneで見てる身としましては、一般的なご家庭のインフラでは太刀打ちできまいと思います。
冒頭でクレアはタイルを水洗いしています。タイルを擦る音と水音、やがて現れる水たまりに空が写って、水たまりの空を飛行機が飛んでいきます。
生活音と白黒のみの世界でこんな凝ったことを!と、キュンとしまして、夢中になりました。
割と難しいし、わたしは(無知なので)ROAMがイタリアのローマのことだと思ったまま見終わりました。
メキシコシティにもなんとかローマって地域があって、タイトルはそこから取ってるって、後で知って、先にゆうといて!と思いました。
なのでネットでいい解説も色々みられるので、予習してもいいと思います。
クレオの武術オタの彼氏(未満)のアイツ、いきなりマッパで披露する演舞にビックリしたのと、映画館でクレオから妊娠を聞かされてトイレ行くくだり、絶対消えるよなーって思ってたら期待通り消えてくれるゲスでしたね。
何あれ?ほんでクレオが道場とやらに会いに行ったら恫喝してさぁ。何あれ?
死ねばいいのに!と思いました。
そして、アントニオ医師も死ねばいいのに!と思いました。
アントニオの妻がキツイ人で、クレオたちにも結構無体なことをゆうてましたが、夫がアレではね。
ちょっと同情なのでした。
クレオは妊娠しますが死産してしまいます。
そして、生まれてこないでって思ってたら死んでしまった、と、悔いを叫びました。
クレオの立場で、子を産むのが怖いって思うのは、仕方がない。誰だって思う。責めなくていいんだよ。
あなたに選べる道はなかった。
セックスしたこともわるいことじゃない。
どうか責めずに、できることをした自分をいたわってあげてほしい。
そう思いました。
彼氏未満のあいつは、なんかテロリスト?的な感じでした。
クレオが家具屋で暴動に巻き込まれた折、なんと彼氏未満のあいつが押し入ってきて、クレオと雇い主のおばあちゃんに銃を突きつけるところ、すっごくびっくりしました。
そしてクレオの破水へと繋がるのですが、中々にドラマチックでした。
スピルバーグ監督がアカデミー賞から動画配信サービス作品を除外すべきみたいな発言をしたことが話題になっていました。
カンヌ映画祭も数年前に動画配信サービスの作品を締め出しました。
動画配信サービスに映画館や映画産業が潰されちゃうという懸念が、そうさせたのだろうとは思うのですが、未知の脅威を排除するって、あからさまな差別じゃないですか。
多少は映画館も減るかもしれませんが、それは仕方がないことだと思います。人材は動画配信サービスの方でうけとめられるでしょ?動画配信サービス、いいですもん。便利ですもん。でも、映画館で見ないと面白くない作品も多いから、共存できると思いますよ。ROMAがまさにそういう作品ですもん。こんなん自宅のしょぼい設備でみても面白くないもの。
排除せずに共存できる道を探してほしいと思います。
(ネトフリのオリジナル映画は特にもっと映画館でやってほしいです)