「是枝・脚本演出により上質に思えるフランス映画となったのは、少々誇らしく感じた」真実 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
是枝・脚本演出により上質に思えるフランス映画となったのは、少々誇らしく感じた
是枝裕和 監督による2019年製作(108分)のフランス・日本合作映画。原題:La verite、配給:ギャガ。
監督及び脚本以外は、俳優もスタッフも殆どがフランス人で、更にあの仏大女優カトリーヌ・ドヌーブ主演ということで、全体的な印象としてもフランス映画であった。ただ、テーマは母娘の葛藤や元夫や元夫、娘婿や孫娘、長年の個人秘書も登場しての家庭の変化や家族の絆の様なものを描いていて、まさに是枝ワールドでもあった。そして、予想していた以上に面白く、出演俳優の力量の高さもあるかもしれないが、是枝・脚本演出とフランス映画の相性の良さも感じた。
当初、母カトリーヌ・ドヌーブに対して、自分の面倒は全く見ず、自叙伝も嘘ばかり、ライバル女優(良く懐いていたドヌーブの妹)から汚い手で役を奪ったと批判的にみていた娘ジュリエット・ビノシュが、次第にそうでもない真実(学芸会にも実は来てくれていた等)に気づいていく展開は、後の「怪物」を予見させる真実が次第に明確になっていく趣きで、かなりワクワクとさせられた。
自分以外の俳優の演技やアイデアには辛辣な評価を下す大女優役カトリーヌ・ドヌーブ(1943年生まれ)だが、孫娘相手に魔女を演ずる等ユーモアがあり、高年齢から今後の演技に不安も覚えていて、超我儘だが、可愛いくてどこか憎めない大女優を、上手く造形していて感心させられた。
孫娘役クレモンティーヌ・グルニエも、大人の俳優達を相手に生き生きと演技していて、とても良かった。見学に行ったドヌーブ出演映画に出ていた子役とハリウッド子役になりきったフリの会話も、可愛く可笑しかった。是枝監督の子役への演出術の素晴らしさは、相手がフランス人子供に変わっても健在だった!との印象。
娘ジュリエット・ビノシュの夫で米国人二流俳優役イーサン・ホークも良かった。娘と遊ぶのが大好きで、俳優として義母に大いなる関心を示し禁酒してたのに破ってしまう様の表現が実に上手い。フランス映画らしい音楽も良かったし、何より舞台となった家、否お城の様な屋敷、それを囲む自然の映像がフランス絵画の様に美しかった。
日本人の脚本監督により完成度の高いフランス映画が創られたことを、少し誇りに感じた。
監督是枝裕和、脚本是枝裕和、製作ミュリエル・メルラン、福間美由紀、 マチルド・インセルティ、撮影エリック・ゴーティエ、美術リトン・デュピール=クレモン、衣装パスカリーヌ・シャバンヌ、編集是枝裕和、音楽アレクセイ・アイギ。
出演
カトリーヌ・ドヌーブファビエンヌ・ダンジュヴィル、ジュリエット・ビノシュリュミール、イーサン・ホークハンク・クーパー、リュディビーヌ・サニエアンナ・ルロワ、クレモンティーヌ・グルニエシャルロット、マノン・クラベルマノン・ルノワール、アラン・リボルリュック、クリスチャン・クラエジャック、ロジェ・バン・オールピエール。
kazz Annさま
レビューはしてないのですが、映画館で観ました。
暖かくて素敵な映画でしたね。
フランス人スタッフにもすっかり溶け込む是枝裕和監督の
人間力には、驚きました。
Kazu Annさん
ステキなレビューですね。
劇場では見逃していたので
テレビで観られて嬉しかったです。
是枝監督作品、良いですね。
全編フランスで撮影されたとか?
映像美も楽しめました。
カトリーヌさんの存在感に圧倒されました。