「是枝映画、日仏合作の到達点」真実 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
是枝映画、日仏合作の到達点
ひとえに是枝裕和監督の才能と努力の積み重ねでここまで来たのは重々承知だが、カトリーヌ・ドヌーヴ、 ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエの仏3世代を代表する女優たちが一堂に会する映画(サニエは出番が少なく残念だが)を日本人監督が撮ったのはやはり感慨深い。庶民の生きざまを描き続けてきた監督にしては珍しく、セレブ層の芸能一家の積年の確執と衝突、その後の展開を語るが、感情の機微とその変化でストーリーを深化させる手腕は健在だ。
経験の乏しい子役や無名の役者から素晴らしい演技を引き出す能力も認知されてきた是枝監督。フランスに移っても、国際的にほぼ無名のマノン・クラベル(新進女優役)、新人子役クレモンティーヌ・グルニエらを見出し、名優たちの中で遜色ない演技と自然な存在感へ導いた。
ゴージャスなフレンチの食材から、腕利きのシェフが和の繊細な味付けで新たな魅力を引き出した、といったところか。
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